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節分の日の恵方巻きの購入性向をさぐる(2020年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 恵方を向いて無言で食べ切ると福を呼ぶとの話がある恵方巻きだが。(写真:ミラタス/アフロイメージマート)

節分の日に恵方を向き、無言で食べ切るとよいことが起きる、願い事がかなうとして、風習化の傾向がある恵方巻き。一方でスーパーやコンビニの過剰入荷と売れ残り品の廃棄問題も社会問題化している。今回は総務省統計局の定点調査「家計調査」の公開値を用い、節分の日における恵方巻きの購入性向の実情を確認する。

まずは実際に、どれほどまでに節分の日に恵方巻きが買われているかを、家計調査から確認する。日次支出金額が確認できる二人以上世帯における、2019年の節分の日である2月2日を含む1~2月の動向が次のグラフ(性質上長期間の買い置きはしないものと思われるが、念のために1月も精査対象としている)。対象品目は「すし(弁当)」。飲食店以外の持ち帰りのすし類が該当し、冷凍品は含まない。具体的にはにぎりずし、まきずし、いなりずし、ちらしずし、折詰ずしが例に挙げられているが、恵方巻きはこの品目に該当すると考えられる。

↑ 二人以上世帯における日次支出額(すし(弁当)、円)(2019年1~2月)
↑ 二人以上世帯における日次支出額(すし(弁当)、円)(2019年1~2月)

前日の2月2日にも64.48円とやや大きめの値が出ているが、節分の日当日の2月3日は言葉通りけた違いの値が出ている。節分の日における恵方巻きは、得てして当日購入するのが一般的のようだ。食べるスタイルや消費期限を考えれば当然の話ではあるが。

さてこれをいくつかの属性別に区分し、その実情を見ていく。支出金額を詳しく確認できるのは年ベースのみなので、まずは二人以上世帯(原則夫婦世帯)における、2019年の一年間の恵方巻きに対する支出金額と購入頻度を示したのが次のグラフ。

↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、年間、世帯主年齢階層別)(2019年)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、年間、世帯主年齢階層別)(2019年)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、年間、世帯年収別)(2019年)
↑ 二人以上世帯における支出金額と購入頻度(すし(弁当)、年間、世帯年収別)(2019年)

あくまでも年ベースでの値なので節分の日に向けた支出金額とはそのまま結びつくわけではないが、日々恵方巻きなどのすしを食べる状況も考えにくいので、おおよそ節分の日における恵方巻きの購入性向と連動していると見てもよいだろう。年齢階層別では非常にきれいな形で、高年齢層ほど高い支出金額・購入頻度の値が出ている。単純に年を取るほどすしの類が好きになるのに加え、季節のイベント的な習慣を好む、そして金銭的余裕も関係しているのだろう。

他方世帯年収別では1500万円以上で支出金額・購入頻度ともに高めの結果が出ているが、それ以外では世帯年収による傾向が導き出しにくい結果となっている。おおよそは世帯年収と恵方巻きの購入との間には連動性は無さそうだ。300~350万円の世帯を中心に高い値が出ているのは興味深いところではある。

これを単身世帯で見ると、より明確な傾向が出る。なお単身世帯では購入頻度に関する指標は無い。

↑ 単身世帯における支出金額(すし(弁当)、年間、世帯主年齢階層別、円)(2019年)
↑ 単身世帯における支出金額(すし(弁当)、年間、世帯主年齢階層別、円)(2019年)
↑ 単身世帯における支出金額(すし(弁当)、年間、世帯年収別、円)(2019年)
↑ 単身世帯における支出金額(すし(弁当)、年間、世帯年収別、円)(2019年)

若年層(34歳以下)ではあまり買われておらず、中年層(35~59歳)でも平均で6578円。他方他方高齢層(60歳以上)では8000円以上の購入が確認できる。男女別では男性の方が積極的に恵方巻きを購入しているが、高齢層では男女差がさほど出なくなる。他方、世帯年収別では法則性の類は見いだせない。属性別の人数が少ないのも一因だが(例えば400万円台は46人)。

すし(弁当)が恵方巻きに限ったものではないので断定はできないが、恐らくは恵方巻きは節分の日当日に集中に購入され、一般の世帯で消費されているものと思われる。年齢階層別では高齢者の方がよく購入しているようだ。

元々半ばビジネスのために作られた形での風習ではあるが、皆が楽しむ分には恵方巻きを節分の日に食べるのは一向に構わない。ただ、過剰入荷のような問題は避けてほしいものではある。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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