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秋は記録的豪雨の季節 台風27号でも豪雨の恐れ

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
24日(木)夜の雨の予測。雨の強さは青<黄<赤。

豪雨の記録は、夏よりも秋に多く出ています。1時間雨量の国内記録で、上位を多数占めているのは9月~11月。今回の台風27号でも、記録的な豪雨が降る可能性は否定できません。

冷えはじめた陸と海の温度差が豪雨を降らせる

国内の1時間雨量の記録を見ると、1位の153ミリ(千葉県香取・1999年10月)をはじめ、10位以内で7つの記録が、9月~11月に観測されたものです。

最大1時間降水量の国内記録(気象庁ホームページより)
最大1時間降水量の国内記録(気象庁ホームページより)

なぜ秋なのか?

秋になると、陸が海より先に冷えはじめます。一方、台風や低気圧が海から吹かせる風はまだ暖かく、陸にたまった冷たい空気の上に乗り上げるようになり、上昇気流が強まって雨雲を発達させます。つまり、海から流れ込んだ水蒸気たっぷりの空気が、沿岸部で次々と活発な雨雲を生むわけです。

1時間雨量の上位記録を見ても、比較的、海に近い地点ばかりです。

先日の伊豆大島の豪雨時も、同様の現象が起こっていました。この気温の境界が停滞し、さらに大量の水蒸気の補給が続くと、伊豆大島のように総雨量的にも記録的な大雨となってしまいます。

台風27号が、九州~本州の南海上を少し離れて進んだとしても、大雨のリスクは残ります。

台風が「北へ向かう」タイミングが危険

今年の台風の記録的な大雨には、一つ特徴があります。

9月に京都・滋賀などで大きな被害を出した台風18号、伊豆大島で大規模な土砂災害を起こした台風26号。ともに、台風がカーブを抜けて、「北へ向かっている」タイミングの前方で、記録的な大雨となっています。

原因の一つは、台風の形が変わりはじめ、北側に活発な雨雲が偏っていたこと。

もう一つは、台風が西から東へ動けば、雨雲も通り抜けてくれますが、南から北へ動いているうちは、台風の北側(前方)にある雨雲が、かかり続けてしまうためです。

台風27号が、カーブを抜けて北へ向かうタイミングで前方にあたるのは、九州や四国、中国地方など西日本です。

もちろん、台風の規模は大きく、沿岸部以外でも西日本以外でも、激しい雨の恐れがあるので絶対に油断はしてほしくないですが、“特に”北に向かうタイミングにあたる地域は気にしておきたいところ。万が一、豪雨が降り始めたらどう行動するかを、前もってイメージしておくのが大事です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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