スマホは動画視聴81.7%、コミュニケーション80.0%…小中高校生のスマホやPCでのネット利用法
スマートフォンもパソコンも道具の一つでしかなく、それで何をするか、何ができるのかが要には違いない。それぞれで子供達は何をしているのか、その実情を内閣府が2021年3月に報告書を発表した「令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)を基に確認する。
次に示すのは小学生から高校生を対象に、デスクトップパソコン、ノートパソコン、従来型携帯電話、スマートフォンそれぞれでインターネットを利用している人における、その端末による利用内容を示したもの。普段からその目的で利用していると認識した項目に答えてもらっている。「コミュニケーション」とは電子メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアなど、他人との意思疎通ができるサービス全般を指す。
パソコンではデスクトップとノートのような形状による違いはあまり生じておらず(ゲームではデスクトップの方が高めの値が出ている。一方で学習・勉強ではノートパソコンの方が高い値)、従来型携帯電話・スマートフォンとは大きく使われ方が異なる状況が確認できる。また従来型携帯電話とスマートフォンでは差異が大きな項目がほとんどで、機種の性能による利用目的の違いが明確化している(あまり違いはないのはコミュニケーションぐらい)。
パソコンでは情報検索や動画視聴がメイン、音楽視聴やゲーム、学習・勉強などがそれに続く。コミュニケーションやニュース(の取得)などはあまり行われていない。一方で従来型携帯電話はコミュニケーションがほとんどで、他項目は押し並べて低め。機能そのものがスマートフォンと比べて低く限定されており、現在のサービスがほとんど対応していないことから、子供達の間では電子メールなどのコミュニケーションに限ったツールとして使われている実情が分かる。あるいはそれこそが、端末を提供する保護者側の思惑なのかもしれない。
他方スマートフォンは動画視聴をはじめ、コミュニケーションやゲーム、音楽視聴、情報検索など利用方法は多様。ニュースの取得や地図・ナビゲーションの活用面でも大いに利用されている。さらに電子書籍も17.6%と高めな値(パソコン以上)が出ているのは注目に値する。
これを全体比で算出したのが次のグラフ。上記が「その端末でインターネットを利用する人における利用実情」であるのに対し、これは全体に占める割合。それぞれその端末でインターネットを利用する人の割合から逆算しており、例えばスマートフォンでは動画視聴の項目は54.8%とあるので、小中高校生全体の5割強は、スマートフォンで動画視聴をしている形となる。子供達の実態を全体的に見る時に役立つ値といえる。
動画視聴以外でもコミュニケーションが53.7%と5割超、ゲーム・音楽視聴・情報検索が4割台を示している。この現状は、数年前には到底想像も出来なかったに違いない。さらに1/4強がスマートフォンでニュースを取得したり地図・ナビゲーションを活用したりしている。学習・勉強は3割近く。ノートパソコンによる利用状況も情報検索や動画視聴などでそれなりの値が出ているが、スマートフォンの利用状況の前にはかすんでしまう。
パソコンとスマートフォンで利用傾向が大きく異なるのは、画面の大きさや操作性、機動力の違いによる得手不得手から生じるもの。見方を変えればスマートフォンでメインとなるような機能でインターネットの利用は十分だと考えているからこそ、今の子供達はパソコンの必要性を感じない、距離を置いているのかもしれない。
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※令和2年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2020年11月5日から12月13日にかけて2020年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(困難な場合は訪問配布訪問回収法も併用。保護者は訪問配布訪問回収法が原則)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法を併用している。有効回答数は青少年が3605人(うちウェブ経由は388人)、保護者は3633人(うちウェブ経由は421人、郵送回収法は180人)。
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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。