ロシア 上空からのあらゆる軍事ドローンやミサイル迎撃システムアップデート:台頭する周辺国の脅威に対抗
ロシアの軍事企業のロステックは同社が開発した対空防御システムの「パーンツィリ-S1M」の性能をアップデートしたことを明らかにした。今回のアップデートによって上空から攻撃してくるあらゆる攻撃ドローンへの防衛が可能になったと述べている。「パーンツィリ-S1M」は対空機関砲と短距離対空ミサイルを搭載しており、今回のアップデートで20キロから30キロ先の極超音速ミサイルも撃ち落とすことができるようになった。
また15キロから18キロ先の攻撃ドローンや偵察ドローンの電波を妨害(ジャミング)してドローンの機能を停止させる機能も向上させた。また対空機関砲で上空の攻撃ドローンを爆破することも可能。いわゆる"ソフトキル(soft kill)"と"ハードキル(hard kill)"を搭載している。そして同時に40機までの上空のドローンを探知できるレーダーも搭載したことによって、上空のあらゆる方向から大量に攻撃をしかけてくる攻撃ドローンをすばやく検知して、迎撃できるようになった。
軍事ドローンで戦力強化しているロシアの周辺諸国
ロシアの周辺国のウクライナ、ラトビア、ポーランド、アルバニアなどがトルコ製の軍事ドローンを購入しており、ロシアにとっても大きな脅威である。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノ・カラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。ロシアは核保有国であるが、核兵器の使用は本当に「最終手段」であり、大国間同士での抑止には効果を発揮する。だが地域紛争においてはこのような軍事ドローンによる攻撃のダメージの方が大きい。そしてロシアの周辺諸国やかつてのソビエト連邦から独立した諸国は軍事ドローンで戦力を強化している。
今までは軍事力でもロシアに太刀打ちできなかった周辺の中小国でも軍事ドローンで上空からロシアへの攻撃が容易になった。ドローンの大群が上空から地上に突っ込んできて攻撃をしてくることは大きな脅威であり、標的である敵陣に与える心理的影響と破壊力も甚大である。またドローンはコストも高くないので、大国でなくとも、小国やテロリストでも購入が可能であり、攻撃側は人間の軍人やテロリストが傷つくリスクは低減されるので、攻撃側にとって優位であり有益だ。そのため、あらゆる上空からの攻撃ドローン迎撃システムの開発と対策はロシアだけでなく、あらゆる国の防衛において重要である。