Yahoo!ニュース

NY原油15日:ドル高を受けて急反落、米原油在庫は減少するも

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト
(写真:アフロ)

NYMEX原油8月限 前日比1.63ドル安

始値 53.40ドル

高値 53.50ドル

安値 51.33ドル

終値 51.41ドル

ドル相場の急伸を受けて、反落した。

イラン核合意を受けての急落が回避される中、時間外取引では53ドル台前半で底固い展開も見られた。ただ、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げの可能性が高いとの見方を改めて表明したことを受けて、ニューヨークタイムに一気に値位置を切り下げる展開になっている。為替相場がドル高方向に振れたことが、ドル建て原油相場に対する強力なネガティブ材料と評価されている。原油価格の基調はドルと逆相関関係を形成する傾向が強く、本日は素直に戻り売り優勢になっている。

米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(7月10日時点)は、前週比-434.6万バレルの4億6,141.7万バレルになった。末端の製油所向け原油需要が上振れしたことが、原油在庫の取り崩しを促している。ただその影響でガソリン在庫は逆に+5.8万バレルの2億1,801.0万バレルと小幅ながら増加に転じており、原油相場を一段と押し上げることには失敗している。本日は特にガソリン相場の下落幅が大きく、ドライブシーズン中の在庫手当は可能との見方が広がっていることが窺える。

イラン核合意を受けての急落は回避されたが、いずれにしても経済制裁が緩和されればイランからの輸出が増えることは間違いない。当面は3,000万バレルを超えているとの推計もある海上在庫の放出が行われる可能性が高く、仮に急激な増産がなくても原油需給の緩和状態は長期化し易い。なお需給要因から原油相場の安値是正を進めるのは難しく、ドル高回帰の影響もあって原油相場は下振れし易い相場環境を想定している。為替相場が改めて米利上げ観測を織り込んでいくことができれば、原油相場は強力な逆風に晒されよう。

画像
マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

小菅努の最近の記事