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イスラエル、パレスチナからのロケット弾を「アイアンドーム」で34発中25発を迎撃

佐藤仁学術研究員・著述家
イスラエル、ガザからのロケット弾を迎撃(2023年4月)(写真:ロイター/アフロ)

2021年にも約3000発を迎撃

イスラエルとパレスチナの間で衝突が起きて緊張関係が高まっている。イスラエル側、パレスチナ側の両方から上空からのミサイルやロケット弾での空爆攻撃が行われている。

2023年4月7日にはパレスチナからのロケット弾34発中、25発をイスラエルのアイアンドームで迎撃したと報じられていた。また夜間の上空からのロケット弾の攻撃もアイアンドームで迎撃している。

イスラエルにはロケット弾や攻撃ドローン迎撃のためのアイアンドームやアイアンビーム、さらには地対空ミサイルなどが充実している。以前からパレスチナ、ハマスからの攻撃ドローンやミサイルを迎撃してイスラエルの国土防衛に大きく貢献している。

イスラエルでハマスからのロケット弾や攻撃ドローンを迎撃しているのが、イスラエル軍の「アイアンドーム」と呼ばれるミサイル迎撃システムである。2011年に完成したアイアンドームはイスラエルの軍事企業が製造。2021年5月にも約3000発のハマスからのロケット弾や攻撃ドローンの9割を迎撃していると報じられていた。アイアンドームによって、これだけ多くのロケット弾やミサイルが迎撃されるのは初めてとのことで、実戦においてもアイアンドームの精度の高さを見せつけた。2023年4月現在のパレスチナからの空爆攻撃においてもアイアンドームが貢献している。

ウクライナ軍もイスラエル政府にアイアンドーム提供を訴え

アイアンドームは地上にいる人たちや建物への攻撃を回避させダメージを最小化させることが目的。アイアンドームは上空のロケット弾やドローンをレーダーが察知すると、地上からミサイルが発射されて、地上の標的が攻撃されて大惨事になる前に、敵のロケット弾や攻撃ドローンを上空で爆破させている。

現在、ロシア軍によるイラン製軍事ドローンやミサイルでの執拗な攻撃を受けているウクライナ軍はイスラエルのアイアンドームが喉から手が出るほど導入したがっている。ロシアの侵攻直後から、ウクライナのゼレンスキー大統領もイスラエル政府に対して防空システムの提供を訴え続けていた。

イスラエル政府はウクライナ軍への軍事支援は躊躇していたが、2023年3月にようやくアンチドローンシステムの提供が承認された。但しアイアンドームを提供するとは述べていない。また現時点においてもまだウクライナ軍にはアイアンドームは供給されていない。

▼パレスチナからのロケット弾を迎撃するイスラエルのアイアンドーム(2023年4月)

▼イスラエルの「アイアンドーム」

イスラエル、ガザからのロケット弾を迎撃(2023年4月)
イスラエル、ガザからのロケット弾を迎撃(2023年4月)写真:ロイター/アフロ

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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