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ゴルフ界に火花!米欧両ツアーは足並み揃えてノーマンのツアー出場申請却下、ノーマンは強気の3年計画発表

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 ゴルフ界を牽引している米欧両ツアーと、新ツアーを創始しようとしているゴルフ界のレジェンド、グレッグ・ノーマンは、互いに牽制し合い、それぞれが日に日に新たなアクションを起こし、激しい火花を散らしている。

 選手たちは、その狭間で自分の身に火の粉が降りかからないよう慎重に行動しようとしているが、事態は激化するばかり。今日5月10日(米国時間)には、両者がほぼ同時に大きな動きを見せた。

【米欧両ツアーは共同戦線強化でノーマンに対抗】

 ノーマンの新ツアー「リブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズ」の初戦は、6月9日から11日の3日間、ロンドンのセンチュリオンGCで開催される予定。ノーマンによると、その初戦にはPGAツアー(米ツアー)から80名、DPワールドツアー(欧州ツアー)から40名がエントリーし、選手たちは他のツアー大会に出場する際に求められる出場許可をそれぞれが所属するツアーに申請している。

 その出場許可の申請を「PGAツアーは認め、DPワールドツアーは認めないだろう」というのがゴルフ界の大方の予想だった。というのも、ノーマンの初戦の開催地はロンドンであり、米ツアーにとっては「国外」ゆえ大目に見るだろうが、欧州ツアーにとっては本拠地で「敵陣」が開催する試合への選手たちの参加を認めるわけにはいかないと見られていたからだ。

 実際、DPワールドツアーのキース・ペリー会長は「絶対に許可できない」と明言していた。一方、PGAツアーのジェイ・モナハン会長は、これまでは言及を避けていた。

 そんな中、10日にモナハン会長はロンドン大会への出場許可を申請していた全選手宛に、出場許可の申請を「却下する」と記した書類を送付した。

 これは、モナハン会長が米欧両ツアーの足並みを揃え、共同戦線を強化して、ノーマンの新ツアー勢力に対抗する意思と姿勢の表明と考えられる。

 これにより、米欧どちらのツアーの選手も、ノーマンのツアーの初戦には正式には出場が許可されないことになった。もちろん、所属するツアーの決定を無視して、ロンドン大会に出場することは可能だが、強行出場に踏み切れば、所属するツアーからメンバーシップの停止や剥奪といった処分に科せられることは明らかだ。

【ノーマンは強気の3年計画を発表】

 一方、ノーマンはどこまでも強気の姿勢を見せ続けており、この日は、「3年計画」を明らかにした。

 すでに公表されているリブ・ゴルフ・インビテーショナル・シリーズの2022年のスケジュールは、ロンドンの初戦から始まる年間8試合。第2戦は米オレゴン州のパンプキンリッジで7月1日から3日間、開催される予定だ。

 そしてノーマンは「我々は長期的視野に基づいてプランを練ってきた。一時の思いつきでは決してない」と言い放ち、2023年は年間10試合、2024年は年間14試合の開催を予定していることを発表。開催地もアジアや中東、米欧とワールドワイドに広げていくことが「すでに決まっている」という。

 それらの大会は、どれもメジャー4大会やライダーカップ、プレジデンツカップのようなチーム戦のビッグ大会とは決して重ならないよう「配慮している」とのこと。

「選手たちに戦う場と機会を最大限オファーし、選手たちが自由に気兼ねなく選べる環境を整えてあげたい」

 ノーマンは、あたかも自身を「救世主」のように語っているが、「自由に気兼ねなく」ノーマンのツアーを選んだ選手が所属ツアーに居られなくなる事態に発展してしまったというのがゴルフ界の現実だ。

 ロンドン大会への出場許可を申請したフィル・ミケルソン、セルジオ・ガルシア、リー・ウエストウッド、マーチン・カイマーといった選手たちは、果たして、どちらを選ぶのか。

 どれだけ火花が散ろうとも、意思決定を下すのは選手たち自身だ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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