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【河内長野市】盛松寺本堂がまるで食品工場!21日に数量限定配布される恒例ゆず味噌づくりを見てきました

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

当たり前ですが、冬至が近づくと昼間が短くなりますね。とくに2日前の朝には河内長野で雪が積もり、本格的な寒さも加わりました。いよいよ年末に向かっているなと実感します。

ところで、河内長野の冬至と言えば、やはり楠町にある盛松寺のゆず味噌ではないでしょうか?空海が直伝したというゆず味噌づくりは、配布される21日の2日前、昨日19日に仕込みが行われました。

今回、盛松寺でのゆず味噌づくりの模様を見せていただくことができましたので、さっそくご紹介しましょう。

西高野街道沿い、街道から少し丘を登ったところに盛松寺があります。高野山真言宗・準別格本山と、格式のある盛松寺の山号は仏日山(ぶつにちざん)です。

寺に向かう坂道の入口には、ゆず味噌に関するエピソードが紹介されています。由来についてはは昨年も記載しましたが、簡単におさらいすると、この場所は空海が槇尾山に修行に向かう途中に昼食をとった場所でした。

その際、疫病に苦しんでいた地元の人に「冬至に柚子味噌をつくって食すると、疫病ならない」とその製法を教えたのが由来とされ、その製法を盛松寺では令和の現在も引き継いでいるというのです。

坂を上っていくと大阪暁光高校、その隣に千代田短期大学付属幼稚園の建物が見えます。そういえば幼稚園の横を通ったときに、幼児たちの元気な歓声が聞こえていました。

すっかり大人になった私からすれば、この寒いのに本当に元気なものだと感心します。

ということで盛松寺まで来ました。

こちらは蓮の鉢です。盛松寺は蓮の花でも有名ですね。夏の時には美しい蓮の花も、真冬にはこのような状態。来年の夏を楽しみにしましょう。

境内に来ると、打楽器のような何かを激しくたたく音が響いていました。

その音は本堂から聞こえているようです。どうやらこれはゆず味噌作りで出ている音だと推測されます。

ということで本堂に入らせていただくことにしました。

中に入るといきなり多くの人が作業をしています。髪の毛が落ちないように帽子をしていて、かっぽう着姿で無心に作業をしていますから、本堂があたかも食品工場に変わったかのようです。

ほとんどが女性のようですが、年齢は若い人から年配の方まで、まちまちのようです。

かっぽう着ではなく法被(はっぴ)を着ているのが男性陣のようです。

それでは作業を見ていきましょう。中身をくりぬいたゆずの皮があり、それにゆず味噌を詰めていきます。

こちらは外からも聞こえた打楽器の正体です。包丁で果肉を叩いていました。黄色いのは砕かれたゆずの果肉のようです。

ゆずに限らず柑橘類は、実の中身は小さな粒の塊です。その塊(果肉)を木っ端みじんに砕いてペースト状になるまで叩きつけるわけですね。

つまりゆずの中身を繰り出して、それを叩き潰してペースト状にしたものに味噌を混ぜ、それを再びゆずの中に入れるというのが、ゆず味噌作りなわけです。

もし伝承が正しければ、空海も最初に村人に指導するときには、打楽器を奏でるようにゆずの果実を破壊し、ペースト状にする行程などをお手本として紹介したのでしょうか?

作業風景を見ながらいろいろと想像してしまいます。

こちらはゆずと混ぜるための味噌です。

備前味噌とあります。盛松寺の住職のお話によると、味噌は岡山産でゆずは高知産とのこと。本当なら味噌もゆずも河内長野とか南河内の物とかと思ってしまいますが、そこはいろんな事情があるのでしょう。

黙々と作業する皆さん。年に一度の伝統行事だから気合が入っているように思いました。

ペースト状の果肉のほか、ゆず果汁やゆずの種も分けてありました。

ペースト状になった果肉は味噌と合わせて、モッタリとした感じになるまで混ぜていくそうです。

こちらでは、ゆず味噌をゆずに詰め終わろうとしています。

私が来たのは14時すぎでしたが、予定では16時まで行われるそうなので、これで終わりではなく、まだまだ続きがあるのでしょう。

静止画像だけではわかりにくいかもしれないと思いましたので、動画も撮りました。

詰め終わったゆず味噌を見せてもらいました。

すでに備えられているゆず味噌がありました。

空海以来の伝統があり、今年もこうやって皆さんで作られた盛松寺のゆず味噌です。これは本当に価値がありますね。

いつもは静かであろう本堂内部も今日は食品工場となり、また包丁の打楽器が奏でられるにぎやかな一日。御本尊も恒例行事をほほえましく見ておられるのかもしれませんね。

ということで短時間ですが、ゆず味噌づくりの様子を拝見しました。

昨年は恒例行事があるという事実を知っただけですが、こうやって製造過程を拝見すると、河内長野・奥河内のひとつの伝統としてこれからも続いてほしいと思いました。

これは余談ですが、住職さんは境内をモミジで美しくしたいようなことを言われていました。

本堂前のモミジはもう終わりかけですが、蓮だけで無く、もみじの名所になればまた多くの人が参拝に来られそうですね。

最後に大事なことですが、昨日作られたゆず味噌は本日の熟成期間を経て、明日21日の朝9時から配布されます。

非常に多くのゆず味噌を作っているように見受けましたが、もちろん数に限りがあるので興味のある方は早い時間に行かれることをお勧めします。

盛松寺境内から山を見ました。昨日は晴れていましたが、山頂付近は白く雪が残っているようでした。

仏日山 盛松寺(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市楠町西1211
電話番号:0721-53-3037
開山時間:9:00~17:00
アクセス:南海千代田駅から徒歩10分

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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