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【台湾美麗温泉紀行】南果ての秘境・旭海温泉「牡丹湾Villa」

石井宏子温泉ビューティ研究家・旅行作家/杏林大学講師(温泉療養学)
Villaの庭には源泉注ぎ放題の岩風呂

いい湯とおいしいものを求めて一年のうち200日ほど温泉旅。日本47都道府県の温泉に着水!そして世界の温泉へも出かけています。今回は台湾の温泉旅、ずっと泊まってみたかった秘境温泉のラグジュアリーリゾート「牡丹湾Villa」をご紹介します。

高雄から南下して屏東県へ、南の果てのとんがり部分をぐるりと回り太平洋側へ出ると美しい海岸線が現れます。旭海温泉から山道を進むと、隠れ家のような温泉リゾート「牡丹湾Villa」へ到着です。

湖のほとりにVillaスタイルの客室が点在
湖のほとりにVillaスタイルの客室が点在

客室は19室のみ。宣伝もしないし、あまりメディアにも出ないけれど、いつも満室の秘密めいた人気宿。桃源郷のような雰囲気が気に入って、何度も訪れるリピーターも多いそうです。

各Villaには専用の温泉があり別荘のように過ごせる
各Villaには専用の温泉があり別荘のように過ごせる

365日同料金で1泊5食オールインクルーシブ。えっ?!5食?と驚いたのですが、昼食、アフタヌーンティ、夕食、夜食、朝食と、しかるべき時間にカフェやレストラン、あるいはルームサービスでゲストが楽しめるように準備されているのです。

地元でとれたキャロットとフルーツのジュース
地元でとれたキャロットとフルーツのジュース

「お部屋の準備が整うまで、ランチはいかがですか?」早めについたわたし達をレストランへ案内してくれました。

薬膳スープや優しい味わいの食事に心なごみます
薬膳スープや優しい味わいの食事に心なごみます

屏東縣牡丹郷は、原住民族・パイワン族の里でもあります。料理長もパイワン族出身。海、草原、森と、大自然に恵まれた地域で心と体を解きほぐす時間を過ごすことを大切にした宿の食事は、体が喜ぶ素材そのものの味わいを活かした料理です。山の薬草が入った薬膳スープで内臓を温め、旭海で朝とれた魚の塩焼き、地元の野菜たっぷりの点心や炒め物。そうそう、旅ではこういう食事がうれしいのです。

熱帯の森とつながる感覚が心地よい
熱帯の森とつながる感覚が心地よい

屏東県は熱帯モンスーン気候、気温は高くても日陰は爽やか、部屋の中はクーラーで心地よく、大きな窓で熱帯植物が茂る森とシームレスに繋がっています。

デイベッドの向こうには専用のプール
デイベッドの向こうには専用のプール

まずはお楽しみの温泉です。台湾の温泉宿にある部屋のお風呂は、入るときに自分で源泉を注いで入ります。源泉直行のバルブをひねればザザーっと滝流し。新鮮な温泉を自分だけのために注いで入るなんて最高に幸せです。

内湯は深くてたっぷり。源泉温度は51度ほどなので、そのまま湯船にそそぐと、やや熱めぐらいで日本人にとってはエクセレントな湯加減になります。もしも熱い場合に入れる冷泉バルブも、水ではなく源泉をさまして供給しているので、たとえうめたとしても源泉100%!

庭へでると、大きな露天風呂がもうひとつ。泉質はナトリウムー炭酸水素塩泉で、つるとろの感触。ほんのり森のような大地のような芳ばしい香りがするので、植物由来のモール成分も入っているように感じました。

丸くて深くてたっぷりサイズの内湯でうっとり、ワイルドな岩風呂で熱帯樹林を感じながらのんびり。熱くなってきたら、プライベートプールへどぼん。そして、また、温泉へ・・・、と、もはや、無限ループ。

本館には24時間利用可能なカフェ
本館には24時間利用可能なカフェ

カフェでアフタヌーンティーをやっていると聞いて、ぶらりとお散歩。

カフェカウンターにはたくさんのフルーツが並び、カットフルーツでもフレッシュジュースでも好きな組み合わせで出してくれます。美肌スイーツの代表・白きくらげと燕の巣のジュレ。ほんのり甘くて冷たい。そして、せいろで蒸したてのグァパオ(割包)。もちろん、コーヒー、紅茶、台湾茶もスタッフさんが入れてくれてフリー。

夕食はレストランで。歩いても行けますが、電動カートがいつでも迎えにきてくれます。

旭海の漁師さんがその日に獲った新鮮な車海老がどんと2尾。こんなぜいたくなエビチリは初めてです。大きな海老をほおばると、ぷりっとふんわり、豊かな海の味わいが口いっぱいに広がります。

魚介やきのこ、野菜がたっぷりのスープや、しめのチャーハンがとてつもなく美味しい。優しくて、自然のうま味がたっぷり。お腹いっぱい食べてもなんだか体に優しい、そんなお料理に感激しました。

夜食や朝食は好きな時間にお部屋まで持ってきてくれます。

旭海の海岸線には砂丘もある
旭海の海岸線には砂丘もある

宿では、原住民族のスタッフが案内してくれるガイドツアー(有料予約制)もあり、連泊してゆっくり滞在したいリゾート。1時間ほどで海岸線を案内してくれる絶景ツアーに参加しました。丸い石が連なるビーチや砂丘、美しい色の海をバックに撮影できるポイントなどを巡り、同乗したゲストと一緒に和気あいあいと楽しみました。

温泉ビューティ研究家・旅行作家/杏林大学講師(温泉療養学)

温泉の美容力を研究する温泉ビューティ研究家。年間200日ほど国内外の温泉を旅して雑誌や新聞などに執筆する旅行作家。テレビ・ラジオにも出演。自然環境を美と健康に活用する気候療法士(ドイツ)、温泉療法と中国伝統医学の共通点に着目し国際中医師を取得し、温泉、食、自然環境を通じて美しくなるビューティツーリズムを研究する。杏林大学・観光交流文化学科兼任講師(温泉療養学)、日本温泉気候物理医学会、日本温泉科学会会員。海外ブランド化粧品のマーケティング・広報の経験から、温泉地や温泉宿のブランディングや研修も行う。「感動の温泉宿100」(文藝春秋新書)「新・温泉ビューティ」(グリーンキャット)など著書多数。