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「子供無し世帯」「一人親と子供のみ世帯」が増加中…「核家族」の中身の実情をさぐる(2022年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
増加中の核家族。その内情は(写真:イメージマート)

核家族は増加中だが、その中身は

世帯構成の一様式である「核家族」。その構成の実情変化を厚生労働省の国民生活基礎調査(※)の結果から確認する。

今回取り上げる「核家族」とは「夫婦のみ」「夫婦+未婚の子供」「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」からなる世帯であると定義されている。要は三世代世帯ではない、核のみの世帯。1人だけで構成される「単身世帯」は含まれないことに注意。

まず「核家族」そのものだが、漸増を続けている。

そこで核家族を「夫婦のみ」「夫婦+未婚の子供」「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」の構成区分で区別して、それぞれの要素の推移を見ることにする。「夫婦のみ」はいわゆる「DINKS(ダブルインカム・ノーキッズ)」のライフスタイルを取ると自主的に決めている、あるいは諸般の事情でそうせざるを得ない夫婦の場合もあれば、(結婚してからまだ日が浅く)子供が授けられていないだけの場合もある。「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」は配偶者と死別、離婚した、あるいはいわゆる「未婚の母(・父)」の場合が想定される。または一人身となった親と、その親を介護する子供で構成される世帯もありうる。さらには片方の親が3か月以上の長期出張をしているなどで別居している場合も考えられる(その場合は今調査の項目において該当者は調査から除外される)。

まずは各種類の世帯数を積み上げた棒グラフが次の図。核家族が全体として増加しているのは先のグラフにもある通りだが、その内部構成の動向は「子供がいない核家族世帯の大幅な増加」と「一人親+未婚の子世帯の漸増」であることが分かる。

↑ 核家族世帯数(世帯種類別、積み上げグラフ、万世帯)
↑ 核家族世帯数(世帯種類別、積み上げグラフ、万世帯)

夫婦と子供から構成される、世間一般的なイメージとしての核家族数は1980年代までは急増、その後は横ばい、そして1990年以降は漸減に転じた。そして今世紀に入ってからは1400万世帯から1500万世帯のボックス圏内での推移に移行し、安定した動きとなっている。一方で夫婦のみ・一人親と未婚の子供世帯は漸増を続けており、核家族内の構造も少しずつ変化を遂げている。

構成比の算出で構造変化を見る

続いて、全核家族世帯数に占める世帯種類別構成比推移。このグラフで「核家族」を指し示す構造世帯の中身が、年月の経過とともに少しずつ変わりつつあるようすがよくわかる。

↑ 全核家族世帯数に占める世帯種類別構成比
↑ 全核家族世帯数に占める世帯種類別構成比

中央部分の赤い「夫婦と未婚の子供のみ」世帯の比率が年月の経過とともに漸減し、両サイド(「夫婦のみ」と「一人親と未婚の子のみ」)から圧迫を受けているのが確認できる。特に「夫婦のみ」の比率増加は著しく、この50年あまりの間で核家族全体に占める割合は2倍以上となっている。

また今世紀に入ってからは、その「夫婦のみ」世帯比率の増加も落ち着きを見せ、「一人親と未婚の子のみ」が増加を継続しているのが目にとまる(ここ数年は落ち着きを見せているが)。上記でも触れているが、高齢化に伴い介護される側・する側で構成される世帯、高齢者夫婦の片方が亡くなることでひとり親と子供だけ(子供の人数は単数とは限らない)となった世帯、さらには離婚した子持ち夫婦の増加によるものと考えられる。

最後に純粋な世帯数を折れ線グラフにしたものを作成する。

↑ 核家族世帯数(世帯種類別、折れ線グラフ、万世帯)
↑ 核家族世帯数(世帯種類別、折れ線グラフ、万世帯)

「夫婦と未婚の子供のみ」世帯”数”は上記でも言及した通り、1980年代までは急増したものの、その後は横ばい、さらに1990年以降は漸減に転じ、今世紀に入ってからは横ばいに。一方で「子供がいない核家族世帯の大幅な増加」と「一人親+未婚の子世帯の漸増」が確認できる。

「一人親+未婚の子世帯の漸増」は高齢者がいる世帯の増加で説明ができる。一方で「子供がいない核家族世帯」、つまり「夫婦だけの世帯」の増加は、単に「子供が授かるのを待っている状態」「しばらく新婚生活を楽しみたい世帯」の増加だけでは説明がつきにくい。

色々と理由を探してみたが、「結婚しても子供を持つ必要性を感じない夫婦の増加」が大きな要因と考えられる。要は「子供を持つ事に消極的な、親と同居もしない夫婦だけの世帯が増加している」ことになる。

世帯・家族に対する価値観の変化や、生活の上での金銭的な厳しさがこの傾向をもたらしているのだとすれば、早急に何らかの、そして長期的な視点で対策をする必要があろう。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯および世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2021年6月3日に世帯票、同年7月8日に所得票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収の上集計が可能なデータは世帯票が4万2717世帯分、所得票が5142世帯分。今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2021年分)は簡易調査に該当する年であり、世帯票・所得票のみの調査が実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分、2020年は新型コロナウイルス流行の影響で全体のデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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