Yahoo!ニュース

頻発する「50年に一度の大雨」 そのわけは?

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

このところ「50年に一度の大雨」という言葉を耳にすることが増えました。50年に一度というと、大きな被害がいつ出てもおかしくない大雨です。そういった大雨は増えているのでしょうか?

以前はなかった「50年に一度の大雨」

「50年に一度の大雨」という言葉が広く流れるようになったのは、2013年に特別警報が運用開始されるにあたり、その発表基準を気象庁が算出して以降です。

ここ数年で出回るようになった言葉ですので、「50年に一度の大雨が増えた」と感じるのは当然と言えば当然ということになります。

1年で10回以上降った「50年に一度の大雨」

50年に一度というのは「その地域で」という意味です。「日本で」50年に一度の大雨ではありません。ですから、全国で観測点や基準点が多ければ多いほど、どこかで「50年に一度の大雨」は降りやすくなります。

気象庁は、全国を5km四方に区切った地域ごとに、「50年に一度の大雨」の基準を算出しています。その数、全国で約14,000。それだけの数があれば、基準を超えることも珍しくありません。

この一年間だけでも全国で10回以上、「50年に一度の大雨」が降り、各メディア等で情報が流れています。

刺激のある言葉よりイメージできる力を

1時間80ミリ以上の雨となった年間の回数。1000地点あたり。(気象庁HPより)
1時間80ミリ以上の雨となった年間の回数。1000地点あたり。(気象庁HPより)

一方で、短時間の豪雨は、年々少しずつ増えているという観測結果があります。

「50年に一度の大雨」を「またか」と感じる人が増えたからといって、さらに刺激のある言葉を作り続けたところで、大雨災害が単純に減るわけでもありません。

それより、「50年に一度の大雨」と聞いた時に、その地域が大変な状況になっていると想像でき、近隣で起こった場合は危険な状況が迫っていると認識できる、そういった災害をイメージする力を一人一人がつけることのほうが大事な気がします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

増田雅昭の最近の記事