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ウッズの「マスターズに出る」の一言を待ったエイプリルフールは徒労。奇跡のカムバックは無言で始まる!?

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

 4月1日(米国時間)、米ゴルフ界の関係者の大半が「もう、へとへと」「早く返事をしてくれ」と疲弊しきっていた。

 彼らの「待ち人」は、ゴルフ界の王者タイガー・ウッズ(46歳)。いや、正確に言えば、ウッズが来たるマスターズ(米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC、4月7日~10日)に出場するか否かの意思表示をすることを、誰もが「今か今か」と心待ちにしていた。

 SNSでは、ウッズの「出るよ」という第一声をキャッチしようとするファンやメディアが押し寄せ、まさに「カウントダウン」状態だった。

 しかし、ウッズからは、コメントもツイートも声明も何もなく、「これはエイプリルフールのせいなのか?」などと、疲弊につられて落胆や諦めを書き込む人々も見られるようになった。

 だが、今なお、ウッズからの言葉は、一言もない。

 わかっていることは、「タイガー・ウッズ」の名前が数日前からマスターズの「出場者リスト」に「ずっと」載っているということ。そして、その状態をウッズが否定することなく、そのままにしているということ。つまり、出るか出ないかをウッズは明かしていないままなのだ。

 その状態の中、3月29日にウッズがオーガスタ・ナショナルで長男チャーリーくん、選手仲間のジャスティン・トーマスを伴って練習ラウンドを行なったため、「やっぱりウッズは出るよ」という見方が急激に高まった。しかし、その後もウッズからの「出る」の言葉はない。

 PGAツアーや他のメジャー大会とは異なり、マスターズには出場エントリーのデッドラインが設定されていない。マスターズで5勝を挙げ、出場資格を永久に有しているウッズは、何かしらの意思表示をしない限りは、彼の名前は「出場者リスト」に載ることになり、今はそのままの状態にある。

 「出ない」と明言すれば、彼の名前は「過去の優勝者リスト」に移されるが、そこに移されていないことは、「出ない」とは言っていないことを示している。

 しかし、ウッズ本人の意思表示がない限りは、現状ではすべてが推測にすぎず、だからこそ米メディアもファンも関係者も、ウッズの確証が得られず、ヤキモキしているのだ。

 PGAツアーは通常のツアー競技の規定と同様、大会前週の金曜日にあたる1日の午後5時(米東部時間)が過ぎたところでマスターズ出場者リストを公表。そこには、確かにウッズの名前がある。

 だが、米メディアの大半は「マスターズはあくまでもオーガスタ・ナショナルが主催者であり、PGAツアーはマスターズをツアーの大会の1つに組み入れているにすぎない。そして、マスターズが公表している出場者リストをそのまま公表しただけだ」と見ており、ウッズが「出場する」と明言していない以上、本当にウッズがマスターズにプレーヤーとして出るかどうかは「依然としてわからない」と首を傾げている。

 「SNSを毎分毎秒、チェックし続けたこの日、エイプリルフールの1日は苦悩だけに終わってしまった」「その努力は無駄になるのかも?」という意見も出始めている。

 AP通信の熟練ゴルフ記者もツイッターで「待ち続ける時間は、まだ続いているが、もはやウッズは何も明言しないまま、日曜日(3日)にオーガスタ・ナショナルに現れるのかもしれない」と、無言の登場も想定に入れている様子だ。

 そうなる可能性が高まったというのが、一番現実的な捉え方と今は言えそうである。

 昨年2月の交通事故で右足に重傷を負ったウッズが本当にマスターズに出場すれば、1年2か月足らずでの公式大会への戦線復帰となり、それは奇跡のカムバックとなる。

 ウッズの「出るよ」の一言はいまなお無いが、このまま、奇跡の物語が始まることを祈っていたい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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