NY原油2日:40ドル割れ、米原油在庫の増加を嫌気
NYMEX原油1月限 前日比1.91ドル安
始値 41.69ドル
高値 41.97ドル
安値 39.84ドル
終値 39.94ドル
米国内需給の緩和状態が再確認されたことが嫌気され、下落した。
12月4日に石油輸出国機構(OPEC)総会を控える中、アジア・欧州タイムは41ドル台中盤を中心に方向性を欠く展開になった。しかし、ニューヨークタイム入り後は米エネルギー情報局(EIA)が米国内における原油在庫の積み増しを報告したことが嫌気され、大きくマイナスサイドに沈む展開になっている。為替がドル高方向に振れたこともあり、8月27日以来の40ドル割れになっている。
EIAによると、11月27日時点の米原油在庫は前週比+120万バレルの4億8,940万バレルとなった。製油所向け原油需要は着実に回復しているが、なお在庫の取り崩しを促すには至っていない。従来との比較では在庫増加ペースは抑制されているが、国内産油量の落ち込みが一服していることもあり、大規模な在庫削減圧力などは観測できない状況になっている。これから年末・年始にかけては暖房用エネルギー需要のピークを迎えることになるが、今年は暖冬予報に加えて過剰ともいえる在庫が存在する中、季節要因に基づく相場押し上げ圧力も働きづらい状況にある。
ベネズエラのマドゥロ大統領が5%の減産提案、イランが余剰生産の削減を呼びかけといったOPEC総会に向けての動きも活発化している。しかし、マーケットではOPECが本格的な生産調整に乗り出す可能性は低いとの見方が支配的であり、イベントリスクからショートカバー(買い戻し)や押し目買いを入れるような動きは限定された。それだけに、仮にOPECが何らかの生産調整で合意すると原油相場は急反発する可能性を想定しておく必要があるものの、テールリスクとの認識で十分だろう。
再び40ドルの節目を巡る攻防に突入しているが、なお需給リバランスの完結見通しが立ちづらい状況にある中、下値不安が大きい相場環境が続く見通し。ドル高圧力が継続していることもネガティブ。北米で厳しい寒波が観測されるといったポジティブ材料が浮上しない限りは、反発余地は限定されよう。現行価格でも減産圧力が確認できる中、ここから急落するような必要性までは認めていないが、少なくとも大きく反発して減産圧力を緩めるようなことは許容されていない。目先は、季節要因から在庫積み増し傾向にブレーキが掛かった際に、どの程度の反発力が見られるのかが注目される程度である。40ドル割れ定着が打診されよう。