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J1再開へ。セカンドブレイク!後半戦の躍進キーマン7人

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

J1リーグは中断期間にあり、欧州の競合クラブにサウジアラビアのアル・ナスルを加えたワールドチャレンジなども行われていますが、多くのクラブはこの期間にコンディションを整えつつ、戦術や戦力の見直しを行い、8月5、6日のJ1再開に備えています。

その前に、8月2日に天皇杯のラウンド16を戦うクラブもありますが、移籍で加入してきた選手がどうフィットするのか、逆に他クラブへの移籍で抜けてしまった穴を誰がどう埋めるのかなど、いろいろな話題があがっています。

今回はセカンドブレイクをテーマに、これまでも主力を担ってきた選手から、後半戦から終盤戦でのチーム躍進の鍵を握る選手にフォーカスします。なおキーマンと言っても、浦和レッズのDFアレクサンダー・ショルツやヴィッセル神戸のFW大迫勇也など、誰の目にも明らかな主軸の選手は神棚にお供えして、対象外としました。

宮市亮(横浜F・マリノス)

念願の代表復帰となった昨年E-1選手権の韓国戦で負傷。サッカーの神様はこの快速アタッカーに試練しか与えないのかとも思ったが、サポーターの愛に支えられながら復帰を果たし、第17節の柏戦では感動的な逆転ゴールを決めた。

ここまで終盤からの出場がメインとなってきたのはエウベル、アンデルソン・ロペス、ヤン・マテウスのブラジル人トリオが好調を持続していることも理由にあるが、リーグ連覇やACLでの躍進を目指す上で、爆発的なスピードを武器に、個人でも違いを生み出せる宮市の活躍というのは欠かせないはずだ、

ルーカス・フェルナンデス(北海道コンサドーレ札幌)

開幕時の離脱から4月下旬の福岡戦でようやくリーグ戦に復帰すると、しばらく途中出場が続いていたが、第16節の柏戦からは左ウィングバックでスタメンに定着している。ここまで3アシストを記録しているが、まだまだこんなものじゃないだろう。

右サイドの仕掛け人として8ゴール4アシストを記録していた金子拓郎がディナモ・ザグレブに移籍、さらに田中宏武もJ2の藤枝MYFCに期限付き移籍したことで、右ウイングバックに回る可能性もある。

大久保智明(浦和レッズ)

序盤戦はトップ下か左サイド、ACLファイナル後は右サイドをメインに起用されており、ドリブル突破やスピードを生かしたプレス、フリーランなどで浦和に高強度をもたらしている。ただ、ここまで1得点2アシストと数字が付いて来ていないのは本人も自覚している。

夏の移籍で安部裕葵、中島翔哉、エカニット・パンヤと2列目の選手が加入しており、スコルジャ監督の起用法によっては主力としての立ち位置が脅かされうるが、これを逆に良い転機にしてもらいたい。特に安部とは幼少期のプレー環境が近く、併用された場合はコンビネーションが楽しみだ。

高嶺朋樹(柏レイソル)

ボランチとして勝負するため、覚悟を持って札幌から柏に加入した。しかし、チームは序盤戦から低迷。ネルシーニョ前監督から井原正巳監督が引き継いで、巻き返しを図るも、なかなか浮上のきっかけを掴めないまま、17位で中断期間になった。

ビルドアップを構築できておらず、前線の細谷真大やマテウス・サヴィオの打開力にかける状況はあまり変わっていないが、高嶺が中盤から起点の役割を司ることで、速攻にしても意図的に繰り出していけるだろう。結果のフォーカスした終盤戦になるだろうが、高嶺が真のブレイクを果たし、一皮剥けるチャンスではある。

大橋祐紀(湘南ベルマーレ)

開幕戦でハットトリックを成し遂げて注目を浴びるも、第三節の負傷でしばらく戦列を離れた。復帰して7試合でまだ1ゴール。2トップの相棒だった9得点の町野修斗が移籍し、ディサロ 燦シルヴァーノが清水から加入したが、湘南が最下位から浮上していくには大橋が新たなエースとして得点力を発揮していくことが求められる。

山﨑浩介(サガン鳥栖)

J2山形から加入し、ここまでセンターバックでリーグ戦フル出場している。ファン・ソッコとのコンビもすっかり定着。田代雅也がライバルの福岡に移籍したことも、山﨑の存在が高まっていることの証だろうが、それだけに、鳥栖の躍進を支える意味ではさらなる奮起が期待される。2−1で敗れた神戸戦にしても、対人の強さに加えて周りを助けるような働きも、失点シーンやGK朴一圭のセーブに頼るシーンを減らす要素になるだろう。

川村拓夢(サンフレッチェ広島)

中盤からの鋭い飛び出しや左足のキックを武器に前半戦のスーパーヒットとなり、日本代表にも招集されたが、運悪くコンディション不良で離脱となった。感情をあまり表に出すタイプではないが、相当に悔しい思いをしたはず。その後、リーグ戦でしっかり出場しているが、チームはなかなか勝てない状況が続いている。天皇杯iは敗れてしまったので、ACLの権利を取るためにもリーグ戦で上位を目指すしかない。川村が目に見える結果も含めたパフォーマンスで、終盤の躍進に向けて活性化させられるか。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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