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ウクライナ軍、侵攻直後から2600機のロシア軍のドローン破壊:一夜でイラン製軍事ドローン35機撃破

佐藤仁学術研究員・著述家
2023年5月8日のキーウ上空で撃破されるロシア軍のドローン(写真:ロイター/アフロ)

5日で100機のドローン破壊、ほとんどがイラン製軍事ドローン

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ウクライナ軍では2022年2月24日にロシア軍に侵攻されてから殺害したロシア軍の兵士の数、破壊した戦車、戦闘機など兵器の数をほぼ毎日公表している。

ウクライナ軍によると2022年2月24日から2023年5月8日までのロシア軍兵士の戦死者は191,970人以上で、破壊したドローンは2600機を超えた。2023年5月3日に2500機だったので、5日でおよそ100機のドローンを破壊した。とても速いペースである。

2023年5月になってからもロシア軍のイラン製軍事ドローンによる攻撃がほぼ毎日のように行われており、ウクライナ軍は迎撃している。ロシア軍が大量の軍事ドローンで奇襲を仕掛けてくるので、迎撃されて破壊されるドローンも多く、1日に数十機のドローンが破壊される日もある。また攻撃ドローンだけでなく監視ドローンも多く撃破されている。

5月7日の深夜、5月8日早朝にもウクライナ軍はキーウ上空で35機のロシア軍が使用しているイラン製軍事ドローン「シャハド136」を迎撃して破壊していた。ウクライナ空軍は35機のイラン製軍事ドローンを撃破したが「今回のキーウへのドローン攻撃は今まで一番激しいものだった」とウクライナ軍の将校は語っている。ここ数日、ロシア軍はイラン製軍事ドローン「シャハド」を多く使用してウクライナ軍の軍事施設や民間インフラを攻撃しようとしており、それらを徹底的にウクライナ軍が破壊している。イラン製軍事ドローンを迎撃して破壊した数はウクライナ軍はロシア軍に対する抑止と反撃能力のアピールとして公表している。

5日で100機を達成したのは2022年10月以来である。ロシア軍はイラン製の軍事ドローン「シャハド」や「Lancet」、ロシア製の監視・偵察ドローン「Orlan-10」などを多く飛行させている。そのため実際にはもっと多くのドローンを破壊しているだろうが、カウントされて公式に公開されているドローンの数は2500機である。ドローンは戦車や大砲のように大型ではない。上空で破壊してもバラバラになってしまって残骸や破片が見つからずにカウントされないことも多い。

ロシア軍によるイラン製軍事ドローン「シャハド」での攻撃はいっこうに止まる気配がない。これからも「シャハド」による奇襲と迎撃が繰り広げられるだろう。

2022年10月1日から10月11日までの11日間で100機(累計1100機)

2022年10月12日から10月15日までの4日間で100機(累計1200機)

2022年10月16日から10月20日までの5日間で100機(累計1300機)

2022年10月21日から10月28日までの8日間で100機(累計1400機)

2022年10月29日から11月11日までの14日間で100機(累計1500機)

2022年11月12日から12月7日までの26日間で100機(累計1600機)

2022年12月8日から12月24日までの17日間で100機(累計1700機)

2022年12月25日から2023年1月2日までの9日間で100機(累計1800機)

2023年1月3日から1月25日までの23日間で100機(累計1900機)

2023年1月26日から2月12日までの18日間で100機(累計2000機)

2023年2月13日から3月10日までの26日間で100機(累計2100機)

2023年3月11日から3月23日までの13日間で100機(累計2200機)

2023年3月24日から4月9日までの17日間で100機(累計2300機)

2023年4月10日から4月23日までの14日間で100機(累計2400機)

2023年4月24日から5月3日までの10日間で100機(累計2500機)

2023年5月4日から5月8日までの5日間で100機(累計2600機)

▼ウクライナ空軍は35機のイラン製軍事ドローンを撃破と伝えるウクライナ軍の将校

▼35機のドローン撃破を報告するウクライナ軍

(ウクライナ軍提供)
(ウクライナ軍提供)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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