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ジョン・アシュトンが死去。「ビバリーヒルズ・コップ」のタガート刑事

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
(Getty Images for Netflix)

「ビバリーヒルズ・コップ」(1984)のジョン・タガート巡査部長役で知られるジョン・アシュトンが亡くなった。76歳。死因はガン。コロラド州の自宅で静かに息を引き取ったという。

「ビバリーヒルズ・コップ2」(1987)には続投したが、1994年公開の3作目には出なかったアシュトンは、今年7月にNetflixで配信されたシリーズ4作目「ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー」で久々にタガート役に復帰。エディ・マーフィ、ジャッジ・ラインホルドとあいかわらずの相性の良さを見せつけ、ファンを喜ばせた。映画は大ヒットで、やはり3作目からは降りたプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーは、マーフィとともに5作目についても構想を練り始めたといわれる。

エディ・マーフィ、ジャッジ・ラインホルドとの相性は最高(Melinda Sue Gordon 2024/Netflix)
エディ・マーフィ、ジャッジ・ラインホルドとの相性は最高(Melinda Sue Gordon 2024/Netflix)

 3作目がこのシリーズの中で最も評判が悪いのはアシュトンが出なかったからだという声は、業界内でも、ファンの間でも強かった。出演しなかった理由としては、「リトル・ビッグ・フィールド」(1994)とスケジュールが重なったことや、ブラッカイマーが降りて不安を感じたことなどがささやかれている。本当のところは何が大きかったのかはわからないが、ブラッカイマーも戻ってきた「〜アクセル・フォーリー」で、アシュトンは実に楽しそうだった。5作目が実現するならきっとまたあんなお姿を見られたのだろうと思うと、残念だ。

 アシュトンはマサチューセッツ州スプリングフィールド生まれ。オハイオ州のディファイアンス・カレッジからロサンゼルスの南カリフォルニア大学に編入し、舞台芸術を学んだ。

「ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー」は、今年7月配信され、大ヒット(Melinda Sue Gordon 2024/Netflix)
「ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー」は、今年7月配信され、大ヒット(Melinda Sue Gordon 2024/Netflix)

 卒業後は、「刑事コロンボ」「ワンダーウーマン」「M★A★S★H★」「ダラス」などの人気テレビドラマや、「ヤング・ゼネレーション」(1979)、「ボーダーライン」(1980)などの映画に出演。だが、大ブレイクは、全世界で2億3,400万ドルを売り上げた「ビバリーヒルズ・コップ」。ロバート・デ・ニーロと共演した1988年の「ミッドナイト・ラン」での彼も記憶に残る。ほかの出演作に、「キングコング2」(1986)、「結婚の条件」(1988)、「カーリー・スー」(1991)、「ハーモニーベイの夜明け」(1999)、ベン・アフレックの監督デビュー作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」(2007/日本劇場未公開)などがある。

 私生活では、1968年に最初の妻と結婚し、1970年に離婚。2番目の妻とは1976年に結婚、2001年に離婚した。それぞれの結婚で、ひとりずつ子供を授かっている。

 ご冥福をお祈りします。

L.A.プレミアでまた顔を合わせたアシュトン、マーフィ、ラインホルド(Getty Images for Netflix)
L.A.プレミアでまた顔を合わせたアシュトン、マーフィ、ラインホルド(Getty Images for Netflix)

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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