Yahoo!ニュース

GW後半の天気予報、マークの鵜のみは危険

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
2日(金)時点での週間予報。気象庁ホームページより。

ゴールデンウィーク(GW)後半は、5日(月・祝)に全国的に雨となりそうです。

ところで、今年のGWは、「マークだけの天気予報はダメだな」とあらためて思いました。

気象庁の週間予報では、GW後半は「晴れる日が多い」と読みとれる予報が一時、出ていました。おそらく、元にしているコンピューターの計算で、晴れの時間が長く出てきたためでしょう。

その予報を見て、「GW後半は晴れる日が続く」と認識した人も多いかもしれません。

ただ、上空の流れを見ると、気圧の谷が西から接近し、「安定した晴れが続く」とは言えない状況。高層天気図が読める気象予報士なら、すぐ分かる形でした。「GW後半は、雨の日もある」と解説されていた天気予報も、多かったように思います。

天気マークは、ある意味、強すぎます。

一目で結果を伝えられるというメリットが大きい一方で、その裏にある情報を隠してしまいます。

たとえば、きょう2日時点の週間予報では、5日の東京は「曇りマーク」一つです。

たしかに、5日の雨雲は、南北に縦長の形をした細い雨雲ですので、山地にブロックされて降らない可能性もあります。

ただ、ほんのちょっと雨雲の背が高くなり、山地を乗り越えれば雨です。それくらい微妙です。「曇りマーク」だけを見て、「降らない」と瞬間的に判断するには、ちょっと危なっかしいわけです。

天気予報は、マークや数字だけでは全てを伝えられません。

言葉による解説がセットでない予報は、不完全です。

スパコンの性能が向上しても、出口が狭いままでは、結果的に精度の低い情報になります。

GW後半、特に5日・6日の天気は、それぞれの地域でどういった可能性があるのか、直前まで、テレビ・ラジオ・天気サイト・SNSなどでの言葉による解説に注目していただければと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

増田雅昭の最近の記事