『M-1』『キングオブコント』の2冠はなぜ至難の業? 快挙に挑むビスケットブラザーズ、かもめんたる
11月17日、『M-1グランプリ2022』の準決勝進出27組が発表された。
その27組のなかに名前が入っていなかったのが、2020年決勝3位の見取り図、2021年決勝3位のインディアンス、2021年ファイナリストのランジャタイやモグライダー、さらにEXIT、金属バット、阿佐ヶ谷姉妹など。
『M-1』での実績や高い人気を誇る芸人たちが準々決勝で敗退する波乱もあり、SNSでは驚きの声があがっている。
『キングオブコント』王者が同一年の『M-1』決勝に進出したのは、かまいたちのみ
準決勝27組のなかでも注目は、ビスケットブラザーズである。
10月8日におこなわれた『キングオブコント2022』決勝で大会史上最高となる総合得点で優勝。同コンビの『M-1』の戦績は、2019年から2021年の準々決勝までが最高だった。準決勝進出は今回が初めて。史上初となる『キングオブコント』との2冠挑戦の権利を引き寄せた。
『キングオブコント』はこれまで15組のチャンピオンを輩出している。そのなかで、同一年におこなわれた『M-1』の準決勝へ進出したのは、2017年のかまいたちのみ。かまいたちはその年の『M-1』でも決勝4位という結果をのこしている。
ビスケットブラザーズと同じく、『キングオブコント』との2冠にチャレンジするのが、2013年チャンピオン・かもめんたる。『M-1』は2008年が1回戦、2009年が2回戦、2021年が準々決勝で敗れており、ラストイヤーでついに準決勝進出を果たした。
『キングオブコント』チャンピオンが、別年の『M-1』で準決勝以上に進んだ例も3組のみ。
ビスケットブラザーズ「漫才は『笑いをとろう』、コントは『笑ってください』」
なぜ2冠は難しいのか。その要因のひとつが、『M-1』にはエントリーせず、『キングオブコント』一本で勝負しているコント師が少なくないこと。つまりポイントは、同じお笑いの賞レースではあるが『キングオブコント』と『M-1』は別競技と言えるかもしれない部分。
2022年5月に筆者はビスケットブラザーズをインタビューした。その際、きんは「コントは、たとえば眉毛を太く描いたりして、キャラクターを作る楽しさがある」、原田泰雅は「僕らは、コントでは変なキャラクターを登場させるけど、それ以外の部分では漫才の方が向いていると思っています。そもそも漫才とコントは違う楽しさがあります。漫才はボケてツッコんで、そういうやり取りでお客さんを笑わせる。こちらから『笑いをとろう』ということができる。単純に何かを話して笑わせることに関しては、漫才の方が一生懸命になれるのかもしれない。一方でコントは『おもしろいと思ったら笑ってくださいね』という雰囲気。漫才は話でお客さんを巻き込んでいって、コントはお客さんにその場をのぞいてもらって笑わせる感じです」と、漫才とコントの違いについて持論を語ってくれた。
これまでの『キングオブコント』ファイナリストで、『M-1』準決勝以上に進出したのは?
『キングオブコント』と『M-1』の両方で結果を出すのは想像以上に至難の業。だからこそ、ビスケットブラザーズが『キングオブコント』を獲り、同一年に『M-1』で準決勝に進出しているのは快挙と言っても良く、2冠の権利を持つかもめんたるのすごさも光る。
ちなみに『キングオブコント』の過去のファイナリストが、『M-1』でも別年を含めて準決勝や決勝へ進出した例は下記の表である。
2022年『M-1』の準決勝は11月30日、決勝は12月18日におこなわれる。ビスケットブラザーズ、かもめんたるの結果はいかに。