「CSは公式戦の盛り上がりのためにある」3位DeNAの日本シリーズ進出&広島敗退にうろたえるな
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでは、公式戦3位でファーストステージ勝者のDeNAがリーグ優勝の広島を一蹴。日本シリーズ進出を決めた。2位阪神に10ゲーム差とペナントレースを圧倒した広島が日本一を決める舞台に出場できない事態に、従来から燻り続けるCS改革議論も再燃しそうだ。
2007年から始まったセ・リーグのCSでは、リーグ優勝以外の球団が日本シリーズに出場するのは14年の阪神に次ぎ今年のDeNAが3度目で、公式戦3位球団のファイナルステージ制覇は初だ。一方、パでは、10年のロッテ(公式戦3位)の下剋上が有名だ。
下剋上が起こると決まって「リーグ優勝の重み」や「日本シリーズ進出の価値」が問われる。「最強球団が日本シリーズに進出できないなんて」という訳だ。確かにこの主張はもっともらしい。しかし、ポストシーズン制度を受け入れている限り、番狂わせは排除できない。いや、長丁場の公式戦ですら、予想外のヒーローの出現や故障者の発生で開幕前の予想とは異なる結果となるのは茶飯事だ。言い換えれば番狂わせは野球の醍醐味でもある。
CS改革論の中には、もっと上位球団にアドバンテージを与えるべきというものもある。しかし、その結果としてCSの結果が限りなく公式戦の結果に連動するものになったとすると、日本シリーズの権威性は守られるかもしれないが、その分CSの魅力は減じる。そしてそのことはペナントレース自体の盛り上がりにも影響を与えるだろう。CSを行うことの最大の意義は、なるべく多くの球団に少しでも長く可能性を残すことにより、ファンの公式戦への興味と関心を繋ぎとめることだからだ。ぼくは、CSはそれ自体のためではなく公式戦のために行うものだと考えている。そして、CS進出は例え3位からであっても日本シリーズへ、それどころかその先の日本一への可能性を抱かせてくれる。CS制度は現在のものがベストとは言わないが、「角を矯めて牛を殺す」改革は避けねばならない。ぼくは、ファイナルステージでの1勝のアドバンテージすら不要だと思う。公式戦優勝球団はファーストステージを勝ち抜かねばならないことが免除されていることにより、優勝することの意義は守られているからだ。1勝のアドバンテージを与えるなら、むしろファーストステージで公式戦2位球団へだろう。
日本シリーズの価値はCS導入で間違いなく下がったと思う。しかし、その分それ以前に比べるとシーズン終盤まで盛り上がりが維持できるペナントレースを手に入れることができた。ぼくは、プロ野球界にとって日本シリーズよりもペナントレースのほうが重要だと思う。とても残念なことだけれど、良いとこどりはできないのだ。