イスラエル軍、ガザとの国境警備のための半自律型軍事ロボット「ジャガー」開発:デモ動画も公開
敵軍に渡ったら自動で破壊される
イスラエル国防軍(Israel Defense Forces:IDF)は2021年4月に半自律型軍事ロボットの「ジャガー(Jaguar)」のデモンストレーションを実施した。イスラエル国防軍はジャガーをガザとの国境付近に設置する予定で、世界初の軍事ロボットとして国境警備にあたる軍人の役割を行っていく。デモの動画も公開している。
半自律型軍事ロボットのジャガーはイスラエルの軍事企業イスラエル・エアロスペース・インダストリーズが開発。イスラエル国防軍は「いくつものセンサーを搭載しており、自律的に運用することが可能で、さらに攻撃力も備えています。このロボットによってイスラエル国防軍の業務はかなり効率的になります」と声明で述べている。
ジャガーは半自律型軍事ロボットなので、基本的にはロボットが自律的に動いて監視を行うが、人間が遠隔地で操作、コントロールすることも可能。銃も搭載されているので敵に対して砲撃もできる。
また敵軍にジャガーを奪われた場合には、自動的に破壊される。そのため敵軍によってジャガーが悪用されて、イスラエルに攻めてくるようなことはない。
国境警備は人間の軍人よりもロボットが適任
AI技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。ロボットは人間よりも3D業務(Dangerous:危険な、Dirty:汚い、Dull:退屈な)に優れている。疲れることもないし24時間稼働できるし、壊れたら代わりの軍事ロボットを持って来ればよい。特に国境警備は3D業務の典型であり、人間の軍人よりもロボットの方が適している。
また無人の軍事ロボットやドローンを積極的に軍事分野で導入することによって、人間の軍人が戦場で死ぬリスクが低減される。そうなると、軍人の人間の安全保障は確保されるようになる。
一方で、戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。イスラエルやアメリカ、ロシアなどは反対していないので、このように積極的に軍事分野での自律化を推進しようとしている。
▼半自律型軍事ロボット「ジャガー」のデモを公開。軍人が遠隔地で操作するシーンも紹介。