Yahoo!ニュース

R・マキロイのクラブを目の前で抜き取り、振ろうとした男のあまりにも堂々たる犯行に、みな唖然

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

今週の欧州ツアー、アバディーン・スコティッシュオープンで奇妙な“事件”が起こった。

金曜日の朝8時ごろのこと。マキロイとキャディのハリー・ダイアモンド、同組のジョン・ラームとそのキャディが第2ラウンドのスタートを控え、10番のティグラウンド上で談笑していた。

4人はマキロイのゴルフバッグを囲むようにして立っていた。そこへ一人の男が近づいてきて、4人の真ん中にあったマキロイのバッグの中からドライバーを抜き取ろうとした。

しかし、抜き取れたのはドライバーではなく、ヘッドカバーだけ。すると、男は今度はアイアンを抜き取り、数歩歩いて、ティグラウンド上でアイアンを手にして構え、小さくワッグルまでして、今にもスイングしそうな気配。

その男があまりにも堂々とやってきて、堂々とマキロイのバッグに近づき、堂々とドライバーやアイアンに手を伸ばしたため、4人は最初はワケがわからなかった様子で、みな男の一挙一動を目で追いながら見つめていた。

驚いた大会側の係員が男に近づき、「そんなことをしてはいけない」と告げると、男は「なんでダメなんだ?」と問い返した。

そのやり取りを聞いて初めて、それが闖入者であることに気付いたマキロイやラームのキャディらが「セキュリティ!」と声を張り上げ、警備員たちを呼んだ。

そして、警備員に腕をつかまれた男は、それでもマキロイのヘッドカバーを隠し持つように握っていたが、それも取り上げられ、最終的には窃盗犯として逮捕され、警察へ連行されたそうだ。

米メディアによれば、一部始終を目撃していた人々は「一連の犯行は、あまりにも素早いものだった」とのこと。

驚きながら眺めていたマキロイやラーム、そのキャディたちは、男がマキロイのアイアンを持って構えたとき、グリップの仕方があまりにも素人っぽかったため、「一目見て、ゴルファーではないなと、すぐにわかった」という笑い話になったそうだ。

マキロイらに危害が加えられたり、大事なクラブが盗まれたり、壊されたりしなかったことは、何よりだった。

しかし、6月の全米オープンでは、最終日に、やはり闖入者が騒動を起こした。

ゴルフクラブとボールを持った男がトーリーパインズの13番のフェアウエイに入り込み、谷に向かって実際にボールを打ってしまったのだ。

その様子を目撃した元米ツアー選手で全米プロ覇者、現在はゴルフ解説者を務めているリッチ・ビームによれば、「素晴らしいスイングだった」そうだが、その男は、もちろんすぐに逮捕された。

そして、その男は最終的には不起訴になったそうだが、次々にこうした事件が起こるのは、警備体制が甘いのか、それとも闖入者たちの闖入テクニックがレベルアップしているのか。

全英オープンや東京五輪では、何ごとも起こらないことを祈りたい。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

舩越園子のゴルフここだけの話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週2回程度(不定期)

米国ゴルフ取材歴20年超の在米ゴルフジャーナリストならではの見方や意見、解説や感想、既存のメディアでは書かないことがら、書けないことがら、記事化には満たない事象の小さな芽も含めて、舩越園子がランダムに発信するブログ的、随筆風コラム。ときにはゴルフ界にとどまらず、アメリカの何かについて発信することもある柔軟性とエクスクルーシブ性に富む新形態の発信です。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

舩越園子の最近の記事