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「トランプ氏は銃撃で胸を撃たれたが防弾チョッキで無事だった」は誤り。穴に見えるのは服のシワ

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
銃撃を受けたトランプ氏(写真:ロイター/アフロ)

 7月14日(現地時間13日)に起きたトランプ氏銃撃事件において、「トランプ氏は耳だけではなく胸にも弾が当たっていたが、防弾チョッキを着ていたため無事だった」とする内容の投稿がX(旧Twitter)で拡散していますが、誤りです。

 胸に空いた穴に見える部分は、SP女性の服のシワです。

トランプ氏のスーツの胸部分に穴が空いている?

 拡散しているのはAP通信の報道写真を切り取った以下の写真で、たしかにトランプ氏の胸のあたりに穴が空いているように見えます。

「胸に穴が空いている証拠」として拡散している問題の画像。Xより筆者キャプチャ。
「胸に穴が空いている証拠」として拡散している問題の画像。Xより筆者キャプチャ。

 しかし、元の写真を見れば分かりますが、穴のように見えるのはトランプ氏の前に立ってかばっている女性SPのスーツのシワです(画像に直接リンクを貼っています。直接掲載できないため、クリックしてご確認ください)。

 つまり、トランプ氏は胸を撃たれていません。そのような報道も出ていません。

穴が空いていない状態の写真も存在

 また、AP通信の記事にはこれ以外にも当時の状況を伝える写真が掲載されており、そこには右耳から血を流しているものの胸の部分に穴などひとつもないキレイなスーツを着たトランプ氏の写真もあります(画像に直接リンクを貼っています)。

 このことからも、「スーツの胸部分に穴が空いている」は作成者の勘違いか、もしくは人々を騙す目的で作られたことが分かります。

 報道によるとトランプ氏は銃撃により右耳を負傷しましたが、そのほかの部位を負傷したとは伝えられていません。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。インターネット(SNS)で起きる炎上の解説、デマのファクトチェック、スマホやガジェットの話題、生成AIが専門。最近はYouTubeでも活動しています。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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