戦争準備に拍車…北朝鮮の高官人事「軍事シフト」鮮明
北朝鮮の平壌で26日から30日まで行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第9回総会で、朴正天(パク・チョンチョン)軍政指導部長と趙春龍(チョ・チュンリョン)軍需工業部長が党書記に抜擢された。朝鮮中央通信が伝えた。
金正恩氏は同会議で、「人民軍と軍需工業部門、核兵器部門、民防衛部門が戦争準備の完成に一層拍車をかけるための戦闘的課題」を示しており、これにそった人事シフトと見られる。
今回の人事で目立つのは、党政治局委員と党書記に選ばれた朴正天と趙春龍、そしてチョン・ヒョンチョル副総理兼党中央委経済政策室長の3氏だ。朴氏は党中央軍事委員会の副委員長にも選ばれた。
朴氏は一時、北朝鮮軍序列1位だったが、昨年末の党中央委総会で左遷され、今年9月に党軍政指導部長として復権した。今回、再び軍序列1位に復活した形となる。
趙氏は北朝鮮の軍需を総指揮するポストにあり、今年9月の金正恩総書記の訪露にも同行。ロシア側と今後の軍事協力について協議した可能性がある。
同党にはすでに趙甬元(チョ・ヨンウォン)、李炳哲(リ・ビョンチョル)、李一煥(リ・イルファン)、呉秀龍(オ・スヨン)、金才龍(キム・ジェリョン)、朴泰成(パク・テソン)ら7人の党書記がいる。このうち李炳哲氏も軍関係の高官だ。朴正天、趙春龍の両氏が加わって軍関係者の比重が増し、軍事力増強に拍車をかける指導体制が整ったと見ることもできる。
(参考記事:金正恩のミサイル部隊で「反対意見」述べた幹部ら死屍累々)
その他にも金正植(キム・ジョンシク)軍需工業部副部長、国防科学院出身の全日好(チョン・イルホ)前軍需工業部副部長、張昌河(チャン・チャンハ)ミサイル総局長など軍関係者が党中央委員会委員に選出されている。全氏は今回、金正恩国防総合大学総長に任命された。この3氏は李炳哲氏とともに、北朝鮮ミサイル開発を担う「4人組」とも呼ばれる。
今回の人事ではまた、コ・ビョンヒョン氏が第2経済委員会委員長に任命された同委員会は、軍需のための財政・予算措置を統括する。コ・ビョンヒョン氏は以前、江界(カンゲ)トラクター工場の支配人を務めた人物と見られる。同工場は、北朝鮮の大規模兵器工場だ。
そのほかには金才龍氏が人事を司る幹部部長、チュ・チャンイル氏が宣伝扇動部長、朱哲圭(チュ・チョルギュ)氏が農業部長に任命された。チョン・ヒョンチョル氏とキム・チョルサム氏も党部長に任命されたが、部署の名前は明らかにされていない。