新型コロナ 公衆トイレを使用する際に気をつけるべきことは?
新型コロナウイルス感染症は主に飛沫感染と接触感染によって感染します。
年末年始を控え、人が多く集まるイベントが開催されますが、多くの人が使用するトイレを介した感染は起こるのでしょうか?
新型コロナ患者の便からもウイルスが検出され得る
新型コロナは呼吸器感染症というイメージが強いですが、嘔吐や下痢、腹痛など消化器系の症状が出ることもあります。
また、約40%の患者の便中から新型コロナウイルスが検出されるとされています。
ただしこれはPCR検査で新型コロナウイルスの遺伝子の断片が見つかったということであり、これがそのまま便からの感染性を意味するわけではありません。まれに便からウイルスが培養された(つまり感染性のあるウイルスが見つかった)事例もありますが、頻度は高くないと考えられます。
また、トイレの水を流すことでウイルスが舞い上がるのではないかというモデル上の仮説もあり、トイレの配管を通して便から発生したエアロゾルによって建物内で感染した事例も報告されています。
しかし、便から新型コロナウイルスが感染するのかどうかについてはまだ見解が定まっておらず、感染するとしてもごく限られた状況だろうと考えられています。
トイレでの接触感染が原因と考えられる事例は報告されている
一方で、トイレでの接触感染を契機に感染したと考えられる事例は海外でも報告されています。
「年末年始に移動する人のために 交通機関を使用するときの感染対策のポイントは」でもご紹介した、イタリアから韓国への航空機内における無症候性感染者から1人が感染したと考えられる事例です。
この事例では、感染者から席が離れた人も機内で感染したと考えられていますが、この報告の中では、その原因がトイレでの接触感染ではないかと述べられています。
これは、感染者がトイレを利用した際に触れた環境表面がウイルスで汚染され、その汚染された環境表面を非感染者が触れることで感染したものと考えられます。
実際に、感染者が利用したトイレの環境表面は新型コロナウイルスで汚染されることがあり、接触感染を介した感染は十分に起こり得るでしょう。
しかし、接触感染は手で環境表面を触っただけでは成立しません。
皮膚に付いた新型コロナウイルスは9時間くらいは生存しているとされますが、この間に手洗いをせずに目や鼻や口を触ってしまうと感染が成立してしまいます。
公衆トイレなど不特定多数が使用するトイレを使用した後は、すぐにしっかりと手洗いをすることが重要です。
クリスマス、カウントダウンライブ、スポーツ観戦等におけるトイレでの感染予防は?
年末年始を迎え、クリスマス、カウントダウンライブ、スポーツ観戦等、人が集まるイベントが開催されます。
こういったイベントでは多くの人で混雑することが予想されます。
トイレうんぬんではなく、現在の新型コロナウイルス感染症の流行状況を鑑みると、こうしたイベントに参加することは感染拡大のリスクが高いことから推奨されません。
新型コロナがどのような環境で広がりやすいのか、だんだんと分かってきており、
・換気が不十分な屋内で、人と人との距離が近く、大声を発するなどの飛沫が発生しやすい状況(いわゆる3密の環境)
・感染者と長時間一緒にいる
・マスクを着けていない
環境で感染が起こりやすいとされます。
こうした「混雑した」「換気不十分の環境で」「マスク装着していない状態で」「大声が飛び交う」状況を避けることが重要になります。
この条件が1つでも当てはまらなければ大丈夫というわけではなく、現実的には1つでも当てはまれば感染リスクはあり、当てはまる項目が増えれば増えるほどリスクが高くなるということになります。
クリスマス、カウントダウンライブ、スポーツ観戦などのイベントでは、人との距離を保つことが難しく、こうした環境が発生しやすくなります。
もちろん男性の場合は小便器を使用する際には隣の人との距離を空ける、隣の人としゃべらない、など気をつけた方が良いかもしれませんが、むしろトイレの使用そのものよりも、トイレへの移動の際や使用中に人との距離が保てないことで飛沫感染のリスクが発生します。
繰り返しになりますが、現在の新型コロナウイルス感染症の流行状況を鑑みると、こうしたイベントに参加することは感染拡大のリスクが高いことから推奨されません(あくまで「現在の流行状況では」ということであり一律にこうしたイベントへの参加を否定するものではありません)。
むしろこのコロナ禍にある特別な年末年始を安全に楽しむのはいかがでしょうか?
例えばですが、前野健太さんは年末イベントではライブ会場での参加だけでなくオンライン配信でのチケット販売もされています。
今年の年末年始は、こうした感染に配慮したイベントを楽しむことをお勧め致します。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】