夏休みのガソリン価格は、家計に優しくなりそう
資源エネルギー庁が7月21日に公表した「石油製品価格調査」によると、7月19日時点のレギュラーガソリン価格(店頭現金小売価格、全国平均)は、1リットル当たりで前週の123.5円から122.7円まで0.8円値下りした。これでガソリン価格の値下りは3週連続となり、累計で1.3円値下りしている。
2014年7月14日には169.9円を付けていたガソリン価格は、国際原油価格の急落を受けて、今年3月7日には112.0円と、約7年ぶりの安値を更新していた。その後はその原油価格の持ち直しで15週連続の値上がりとなり、6月20日には124.0円まで値上がりしていたが、漸くガソリン価格上昇の勢いが一服した形になる。
過去の同じ時期のガソリン価格を振り返ってみると、昨年の143.5円からは20.8円(14.5%)の値下りになる。一昨年(2014年)の169.8円からは47.1円(27.7%)の値下りであり、夏休みの行楽シーズンを迎える前としては家計に優しいガソリン価格が実現している。
■ガソリン価格動向の背景
ガソリン価格の値動きは、その原料となる原油調達コストの影響が大きく、主に国際原油価格と為替レート(ドル/円相場)の二つの動向によって決定されることになる。特に原油価格の値動きは、ガソリン価格に極めて大きな影響力を有している。
その国際原油価格であるが、ガソリン価格が170円近くだった2014年中盤には1バレル=100ドルを超えていたのが、今年2月には26.05ドルまで、高値から約四分の一の水準まで急落している。1)中国など新興国経済の減速、2)米国のシェールオイル供給拡大、3)石油輸出国機構(OPEC)の生産調整放棄、4)ドル高などの様々な要因が指摘されていたが、いずれにしても大量の過剰供給が発生したことで、原油価格の急落を促すことで、需要を刺激する一方で供給を抑制することが、過去1年半以上にわたって国際原油市場の世界では繰り広げられていた。
しかし、その結果として世界の石油需要が回復する一方、シェールオイルや深海油田といった生産コストの高いタイトオイルといわれる原油生産量が鈍化する中、今年後半には漸く需要と供給とのバランスが取れる見通しが立ち始めている。このため、原油価格は50ドル水準と安値から約二倍の水準に達し、そうした動きと連動する形でガソリン価格も約4か月で12.0円の値上がりとなる124.0円に達していた。
だが、ここにきて世界的にガソリンなど石油製品の過剰生産と過剰在庫が指摘され始める中、国際原油価格の上昇は一服し、それが足元でガソリン価格の値下りを促している。イギリスの欧州連合(EU)離脱問題の影響なども指摘されているが、夏場の国際原油価格について市場関係者の間では軟調な展開を予想する声が強く、ガソリン価格に関してもこのまま120円前後の値段で夏休み中を過ごせそうだ。