企業経営において“女性”は邪魔者かそれとも救世主か
■女性の活躍が企業のCSRの争点となる3つの理由
女性の活躍が企業のCSR(企業の社会的責任)の争点とは。いわゆる経済政策の「3本の矢」の一つとして“女性活用”があります。それもあってか、2014年も「女性」というテーマでCSR関連の動きが沢山ありそうです。すでに動いている企業も多いようです。
ものすごく大きなテーマだけど、2014〜2015年のホット・トピックスになると勝手に思っております。
しかしですね、この「女性活用」とか「女性の活躍」というワードは、ある意味男性的な表現なのかもしれません。だって、「男性活用」とか「男性の活躍」とか、人事戦略で聞いた事ないでしょ?そう考えると、若干気持ち悪い感じがします。
なにはともあれ、女性と経済について、大きく3つのポイントについて少し考えてみましょう。企業のCSRにおける「女性活用」の今後がご理解いただけるかと思います。
■1、女性の社会進出
では、女性の社会進出は、格差を生むし、推進すべきではないのだろうか?といいますか、数字的に言えば、女性の社会進出はすでに進んでおり“数”だけみればそこまで悪くはなさそうなのです。
20年前ならまだしも、僕(81年生まれ)で高校生の時大学進学で、一般企業に就職する女性も多かったですから、正直、新卒の社会進出に性差は感じません。それよりは、結婚・出産・育児の期間である30代女性の話でしょうね、問題は。いわゆる「M字カーブ」の話です。
社会進出より、今の時代は社会に進出した(労働市場にのった)女性達を企業・社会はどう支援し、自分たちの業績に結びつけるかということでしょう。
制度で、女性に支援(育児休暇など)をするだけでは、企業はジリ貧です。だって、コストですから。そうではなく、女性に出産後復帰をしてもらうことで、企業にメリットって絶対あります。そこを活かせる仕組みを組み込むから、意味があるのかと。
■2、ワークライフバランス
拙著『この数字で世界経済のことが10倍わかる--経済のモノサシと社会のモノサシ』でも書いたのですが、働き方は多様になり、女性も男性も柔軟な制度や仕組みの中でも働けるようになってきています。
しかし、内閣府の調査でもあった通り「不安定な立場の女性ほど継続的な就業が困難な状況」なんだそうな。職場復帰を考えるなら、非正規より正規雇用のポジションが前提なのかもしれません。
友人などでも、いわゆる派遣やパートタイムの仕事をしている人もいるので、彼女らももしかしたら職場復帰は難しいのかもしれませんね。
■3、女性管理職者数
内閣府「ワーク・ライフ・バランスGood プラクティス集(PDF)」、「「女性部長」が多い企業はどこか?2014年版「女性部長ランキング」トップ50」などの現場のレポートもあるのでこちらもご参考までに。
女性課長は数字合わせのための各上場企業ではうなぎのぼりに増えているそうで、“女性課長”という役職は管理職か?という問題もあったりなかったりするそうな。
僕の個人的な意見としては、女性を道具のように考える「経済成長のための女性活用」は気持ち悪いんですよ。
以前から主張しているように、女性だろうが、男性や障がい者であろうが、みんなが働きやすく、業績にもつながるような人事戦略が重要だということなんですよ。「大企業のCSR担当者必見! 女性が活躍する企業事例まとめ74社」、「女性の活躍と経済成長は、オフセット的CSR活動なのかもしれない理由3つ」という記事でも書きましたが、女性をどう企業の成長戦略に組み込めるかがポイントかと。
女性を優遇すれば、他の何かが犠牲となるという仕組みでは、結局意味がありません。女性とか男性とかどうでもよくて“みんな”という考えか必要とされていると思うんですよ。「若年女性の貧困問題解決はCSRなのか?」、「企業はCSRとしてどこまでLGBTを尊重すべきか」、「ダイバーシティ経営は“CSRの必要性”として認識されているのか」あたりの記事も参考にしていただければと思います。
出産・育児などを含め、社会や企業がどこまで女性支援にまわれるかというのもありますが、先見の明がある人事戦略をとる企業が増えることを期待しております。
あなたの会社では、女性従業員を支援する仕組みがありますか?そして、企業文化として、きちんと運用されていますか?
「女性の活躍が企業のCSRの争点となる3つの理由|CSRのその先へ」より、修正・加筆し転載。