「みんなはどこで恋愛相手に出会っているの?」18歳から49歳の年齢別独身男女の恋愛の入り口
恋愛相手はどこにいるの?
時代が変わろうとも、独身男女に恋人がいる割合は大体いつも3割で一定しているという「恋愛強者3割の法則」については当連載でも何度も記事化しているが、最新の出生動向基本調査における年齢別の「恋人がいる割合」も、もっとも初婚の多い25-29歳で見ても男女とも大体3割程度である。
今の若者に対して「恋愛離れ」というが、離れているというのなら、それは決して今に始まったことではない。
ちなみに、以下のグラフで、男女でなぜ全年齢帯で「恋人のいる率」に差異が生じているのかについては過去記事(なぜ、独身男女の恋愛中の数が男<女になってしまうのか?「恋愛は1対1とは限らない」)を参照いただきたい。
さて、今回は、この恋愛相手のいる独身男女がどういう場で出会っているかについて2021年出生動向基本調査のデータを基に深掘りしたい。
念のため、結婚した夫婦の出会いのきっかけではなく、あくまで恋人として交際している相手との出会いのきっかけである。その後、このカップルが結婚に至ったかどうかまでは不明である。
独身の恋愛のきっかけ
男女別5歳階級でそれぞれのきっかけの構成比を示したのが以下のグラフである。
これによれば、まず男性の方は、18-24歳にかけては「学校・幼なじみ」が多い。これはそもそも活動範囲が限られているという環境によるものだろう。
20歳以上で「職場・バイト」が増えはじめ、30歳以上ではすべての年代で構成比がもっとも高い。結婚においても職場での出会いは、ひとつの「結婚のお膳立てシステム」として重要であるが、30歳以上の恋愛においても比重が大きい。
マッチングアプリなどの「ネット」きっかけは、25-29歳で3番目に多い19%となっており、これを多いと見るか少ないと見るかは意見が分かれるところだろう。メディアの記事などでは、「マッチングアプリ」などのネット系サービスがこれからの主流になるという話も出ているが、私はそうは全く思っていない。理由は後述する。
尚、婚活分類には「お見合い」「結婚相談所」などを含むが、こと恋愛相手を見つけるきっかけとしてこれらはあまり機能していないようだ。
マッチングアプリは救世主にならない
対する女性の方は、こちらも24歳までは「学校・幼なじみ」が多い。
「職場・バイト」が最大になるのは30歳以上である点も男性と同じだが、男性と違うのは「ネット」の割合が多い点で、20代、特に25-29歳では最大の25%になっている。
25-29歳における「ネット」出会いの恋愛は、男19%、女25%で、女性の方が6ポイントも高い。これも「恋人のいる率」の男女差と同様、女性側は「付き合っている」と思っているが、男性側は「単なる遊び」または「既婚者の浮気」である場合も想定される。
それは、男性の方の30-34歳を見ても、「ネット」より「街中や旅先」といったいわゆるリアルなナンパの方が上回っており、真剣に恋愛相手を見つける男性にとって「ネット」はあまり信用されていないのではないかとすら思える。
マッチングアプリ離れ
最近はマッチングアプリを入り口として「ロマンス詐欺事件」も多発している。警察庁の調べによれば、2023年のロマンス詐欺認知件数は3846件にのぼり、被害額は約455億2000万円と特殊詐欺の被害額を上回ったそうだ。
元来、こうした詐欺に遭遇するのは「お金はあるが女性に縁のないモテないおじさん」がカモにされていたものだが、今後は、ある程度の年収のある女性もターゲットにされるだろう。なぜなら、マッチングアプリでは個人の年収なども情報として公開されているし、ターゲットを絞りやすいからだ。最初から「お金」の話をするのではなく、やりとりの中で恋愛感情を刺激し、徐々に騙していく手口が横行しているようだ。
ちなみにマッチングアプリ市場は大きく鈍化傾向にある。
サイバーエージェント傘下で自らも恋活・婚活アプリ事業を手がける「タップル」が、2020年1月に発表していた婚活マッチング市場規模予測では、2022年には841億円、2025年には1060億円にまで伸びるとされていたが、2023年6月の市場規模予測では、2022年は790億円(予測より6%減)、2025年は819億円(予測より23%減)と大幅に下方修正されている。
特に、恋愛弱者男性の場合、マッチングアプリを使用して、課金までしたものの「実際にデートした人数ゼロが3割」という現実を突きつけられ、恋愛相手とマッチングするどころか、使えば使うほど自尊心を削られるだけだと思い知ったのだろう。
人との交流機会の喪失
それはさておき、恋愛に至るきっかけにおいて、以前は「友人の紹介」が多く、結婚のきっかけとしても重要なものだったのだが、このデータでは男女とも25-29歳で2割程度しかない。
職場での恋愛も、かつては上司や同僚のお節介があったものだが、最近はセクハラ扱いされるリスクによりほぼ消滅している。加えて、友人同士での紹介という「身近なお節介」すら失われているのだろうか。調査が2021年であることから、これはコロナ禍におけるリアルな交流機会の喪失と関係しているのかもしれない。
若者が「恋愛離れ」しているという以前に、こうしたお節介も含めて「リアルな対面での交流離れ」が起きているのではないだろうか。交流離れというより、交流できる場のお膳立ての崩壊というべきか。
恋愛のきっかけより人との交流のきっかけが失われていくことの方が問題だろう。
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