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ユニクロ所属の錦織圭が、テニス選手としてやりたいことと、ユニクロと一緒にやりたい新たな取り組みとは

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
ユニクロ所属になった錦織圭(写真/ユニクロオフィシャル)

ユニクロが、「全日本ジュニアテニス選手権」のタイトルスポンサーに

 株式会社ユニクロ(代表者・柳井正氏)は、2011年よりユニクログローバルブランドアンバサダーを務めている、プロテニスプレーヤーの錦織圭と所属契約を締結した。同時に、公益財団法人日本テニス協会が主催する「全日本ジュニアテニス選手権」(以下、全日本ジュニア)のタイトルスポンサーとして特別協賛することも発表した。後援として、一般財団法人ファーストリテイリング財団が参加することになり、社会貢献につながる活動もしていく予定だ。

 日本テニス協会の山西健一郎会長は、次のようにコメントを残している。

「今年で86回目を迎える『全日本ジュニアテニス選手権』を、ユニクロに協賛いただくこととなりました。この選手権は、国内最高峰のジュニア大会であると共に、才能と情熱にあふれ、未来に向かって羽ばたく子供たちを応援する場であることを評価していただいた結果と、大変嬉しく思っています。私たちは、この大会を技術に秀でただけでなく、豊かな人間性を備え、世界に通用する人材としての選手を育み、送り出す場として、ユニクロに支えていただきながら、活用していきたいと思っています」

 一方、株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏は、新たな絆が結ばれて、新しい取り組みに臨めることを喜んだ。

「『全日本ジュニアテニス選手権』のタイトルスポンサー契約締結を大変嬉しく思います。ユニクロは、2021年日本テニス協会と錦織圭選手と共に、テニスを通じた次世代育成イベント『LifeWear Day 2021 with Kei Nishikori』を開催しました。このイベントをとおして、スポーツは子供たちに夢や希望を与える力があると確信しました。今後開催される『全日本ジュニアテニス選手権』においても、未来を担う若い世代にインスピレーションを与え、より明るい未来のために貢献してまいります」

 全日本ジュニアは、男女単複で18歳以下、16歳以下、14歳以下、12歳以下の各部門で競う日本国内最大級のジュニア大会で、過去にはプロテニスプレーヤーになった松岡修造、伊達公子、そして、錦織圭らが優勝している。

 2022年大会は、8月23日から30日まで、大阪府の大阪市と吹田市(2会場)で開催予定だ。

錦織が、全日本ジュニアの大会アンバサダーに就任決定!!

 さらに、錦織が、全日本ジュニアの大会アンバサダーにも就任することになり、次世代選手の育成を進めると共に、大会への関心を高める活動にも取り組んでいく。錦織は、2001年大会12歳以下の男子シングルスで優勝した経歴を持つ。

「12歳で全日本ジュニアに優勝して、それがプロになるきっかけというか、プロになるんだという決断ができた。18歳以下の時は苦い負けも経験して、その悔しさを逆にバネにできた。いろんな経験ができたのが全日本ジュニアだった」

 さらに、錦織は続ける。

「本当は自分が現地に行って試合を見たり、何かジュニアたちに刺激を与えられるようなことができれば一番ベストだけど、今はまだ現役をやっている中では難しいと思う。全日本で優勝すれば、夢が保証されるわけではないですが、優勝した人たちの特典として、自分と練習ができたり、何か自分がサポートできたりすることは進んでやりたい」

 全日本ジュニアで優勝した選手や、将来性が見込める選手には、錦織が練習拠点にしている、アメリカ・フロリダにあるIMGアカデミーで練習、さらには錦織と一緒にボールを打つ機会が設けられる予定だ。

「僕は13歳でアメリカに行って、その頃からプロの方と練習させてもらう機会を与えてもらった。間近でトップ10選手たちが練習しているのを見て、いろんな刺激をもらった。日本人のテニスと違うテニスを味わうところにすごく大きな意味がある。僕は、若い頃から住めとは言わないですけど、少しでも海外に来れる環境があるなら行った方が、何かしら良い経験ができるんじゃないかと思う。ユニクロと日本テニス協会のサポートがある中で、海外に行けるチャンスを手に入れられるというのは、すごく大きなモチベーションになるのではないか。気負い過ぎないでほしいけど、大きなチャンスをモノにする力を身に付けてもらいたいので、まずは優勝を目指してほしい」

 テニスを通じた次世代育成イベント「LifeWear Day 2021 with Kei Nishikori」が、昨年12月に開催されたが、錦織は、この時の子供たちと触れ合う経験がきっかけになって、次世代育成への興味が増したという。

「テニスだけでなく、どうやって服を作っているかという過程を、ジュニアのみんなに見せることができた。今の環境問題にユニクロがどう取り組んでいるか、子供たちと一緒に僕も勉強できたり、スポーツを通じて学べる。テニスに興味がない子でも楽しめる場所だったのではないか。そういう意味で、テニスがきっかけで、いろんなことを知ってもらえる場にはなったと思う。もともと子供たちと触れ合うのは好きだし、子供も好き。成長を間近で見られるのも楽しさの一つかもしれない」

「将来はユニクロさんと一緒にイベント、子供たちと触れ合える場所も、自分ができる限りやっていきたい」と語る錦織だが、現在、今年1月下旬に行った左股関節の内視鏡手術後のリハビリの真っ只中で、ATPランキングは84位(6月6日付)まで落ちてしまい、復帰時期は未定だ。

 だが、32歳になった錦織は、ユニクロとの新たなサポートを心の糧にして、ワールドプロテニスツアーに復帰することをしっかり見据えている。

「まずは、今までのランキングのところまで戻りたい。トップ10に戻って来れるように。それまでいくつかゴールがあるんですけど、最終的にその位置に戻って、(ラファエル・)ナダルや(ノバク・)ジョコビッチと、1回戦ではなく後半で当たっていけるように。またあの場所に戻りたい気持ちが大きい」

「日本人の自分ができるんだというところは、まず見せたい」と力強く語る錦織は、今後もプロテニスプレーヤーに憧れる子供たちのロールモデルになっていくだろう。再び世界のひのき舞台で、錦織圭が飛翔するところを皆心待ちにしているのだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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