姉さん女房が九州・東北に多いのは、遺伝子の力だった?~「酒と遺伝子と男と女」
婚姻激減でも妻年上婚は減っていない
未婚化の要因のひとつに、「夫年上婚」の激減がある。
こちらの記事で一度紹介しているが、初婚数だけを抽出すると、1970年と比べて「夫年上婚」は、2019年には57%も減少、6割近くも減少しているのだ。組数にして約44万組減であり、これは初婚数の減少数と一致する。つまり、婚姻が減ったのはほぼ「夫年上婚」の減少によるものなのである。
念のためグラフを再掲する。グラフの形から、私はこれを「夫年上婚のエアマックス95現象」と名付けている。
「夫年上婚」だけが減少しているにもかかわらず、「同年齢婚」と「妻年上婚」はほぼ実数で変化はない。比率でいえば増加していることになる。
姉さん女房の多い都道府県は?
「妻年上婚」、つまり「姉さん女房」の多いエリアはどこになるのだろうか。2016年の人口動態調査特殊報告「婚姻に関する統計」より、2015年実績にて、ランキング表を作成した。
1位は長崎県、2位に宮崎県と続き、5位佐賀県、6位大分県、9位福岡県、10位沖縄県とベスト10の中に九州・沖縄地方が6県含まれている。4位の高知県と、8位の香川県は四国であり、四国・九州地方でほぼ独占状態である。南国は「姉さん女房」比率が高いようだ。
マップ化するとよりわかりやすい。色分けは「六分位数」とした。赤が「姉さん女房」比率の高いエリアである。
四国・九州地方だけではなく、北海道から東北地方にかけても「姉さん女房」比率が高い。逆に、東京以外の関東~東海~近畿~中国地方がその割合が低くなっている。いわば、日本の中心部が低く、南北周辺部に「姉さん女房」は偏っているということになる。
酒豪と下戸の分布と相似
この分布、どこかで見たことがあると思ったが、全国の酒豪と下戸の分布マップと似ているのだ。
これは、元筑波大学教授の原田勝二氏が全国5000人以上について調査し、酒に強い酒豪型遺伝子の出現率を都道府県ごとに割り出したものである。その分布も「姉さん女房」分布同様、北と南に酒豪が多いという分布になっている。
ちなみに、原田氏によれば、飲酒で体内に入ったアルコールを分解する力は、その人の遺伝子の型によって決まるそうだ。
言われてみれば、高知、鹿児島、新潟、秋田など酒どころでもあり、酒豪が多そうなイメージがある。まさか、酒の勢いで結婚するから「姉さん女房」が多いということではないだろう。
縄文人と弥生人の遺伝子
実は、この酒豪と下戸の分布は、また「縄文人と弥生人」の分布にそっくりなのである。下戸の多い近畿を中心とした中央部は弥生人の遺伝子を持つ人が多く、北と南の周辺部には縄文人の遺伝子を持つ人が多い。
つまり、縄文人遺伝子を持つ人たちが多い地域が「姉さん女房」の多い地域ということになる。
もちろん、長い歴史の中で移動や交配はあったと思うが、元々備わった遺伝子によって、酒豪など体質的なものだけではなく、結婚相手の選択まで影響を受けているのだとしたら、非常に興味深い話である。経済的要因や社会的お膳立てシステムの問題だけではなく、遺伝子による要因ももしかしたらあるのかもしれない。
読者の中で妻年上カップルの場合、顔の作りなどに違いはあるだろうか?
参考「縄文人と弥生人の顔の特徴」
《縄文人》
・四角い顔、彫りが深い、大きく丸い目、二重瞼、太く濃い眉、毛深い、高い鼻、厚い唇
《弥生人》
・楕円形の顔、堀の浅い平坦、小さく細い目、一重瞼、細く薄い眉、毛深くない、低い鼻、薄い唇
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