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HISが香港の投資会社にハウステンボス売却へ!? 主要直営4ホテルについて解説

瀧澤信秋ホテル評論家
(筆者撮影)

大手旅行会社として知られるHISは、傘下に持つ「ハウステンボス」を香港の投資会社に数百億円で売却する方向というニュースが注目されました。コロナ禍により過去最大の赤字となった同社ですが、資金確保という点からも、入場者数が増加傾向にして黒字転換というハウステンボスについて売却のタイミングと判断したとのこと。

長崎県佐世保市にあるハウステンボスは1992年の開業ですが、全国区の知名度を誇る施設にして、実は一度会社更生法の適用を申請したことがあり(2003年/負債総額約2289億円)、経営再建にあたったのが買収したHIS。そんなハウステンボスですが、多彩なアクティビティは知られるところバラエティ豊かなホテルの存在感も光ります。

(筆者撮影)
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特に直営ホテルは立地、園内各所へのアクセスなどに秀でています。秀逸なコンセプトが打ち出されている直営ホテルですが、目的に応じて様々なホテルがセレクトできるところ、それぞれの魅力をもってゲストを迎えてきました。

売却の詳細などは他の論説に譲るとして、今回はホテル評論家的に主要直営ホテルについて解説したいと思います。

ホテルヨーロッパ

(筆者撮影)
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直営ホテルの中でも高級感溢れる施設が「ホテルヨーロッパ」。外観からロビースペース、客室に至るまで格式を感じます。広々した廊下の随所に用意されたソファーなど配され、余裕と重厚感ある贅沢なホテルを実感できます。客室はクラシカルなインテリアで贅沢な非日常が味わえそう。多彩な客室が用意されているので、人数や滞在スタイルなどに合う客室セレクトが可能です。

(筆者撮影)
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グルメの充実度もホテルヨーロッパの特色。多彩なダイニングが用意され、本格的なホテルグルメが揃います。重厚感のあるフレンチレストラン、ラグジュアリー感満点の鉄板焼きダイニング、長崎の豊かな海の幸、季節の山の幸を味わう多彩な日本料理など、長い滞在でも飽きないアレンジが可能です。

ホテルアムステルダム

(筆者撮影)
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パーク内中心に位置する「ホテルアムステルダム」は、中世の風情が再現された街並とヨットが停泊するマリーナの間に立地するという、古き良き時代のオランダの街、アムステルダムという名が相応しいロケーションです。到着してまず驚くのがアトリウムロビー。鮮やかな色調でまとめられた開放的な空間です。ヨーロッパの美術品が配されており空間のクオリティーを感じます。

(筆者撮影)
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客室の質感はとても高く、インテリア、調度品も納得のセレクト。シモンズのフカフカなベッドは清潔感と快適性も抜群です。デザイン性の高い多彩な客室タイプも特徴。鮮やかなトーンと明るく開放感にあふれる客室は、楽しい旅を予感させる効用があることを教えてくれます。

フォレストヴィラ

(筆者撮影)
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リゾート感満点、まるで別荘のような「フォレストヴィラ」は、賑やかなパーク内とは別世界の静寂を感じるコテージタイプの施設で、家族やグループ利用に最適といえます。湖を囲むようにヴィラが点在、自然との調和というイメージがピッタリとしたエリアです。

(筆者撮影)
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パーク内でたっぷりと楽しみ、ステイは静かにゆったりと。そんなセレクトは旅のアクセントになるかもしれません。リビングスペースやテラスの開放感も抜群。テラスパーティーなんて楽しいでしょう。独立したベッドルームや洗面スペースやクローゼットなどプライベート感も高く快適に滞在できます。

変なホテル ハウステンボス

(筆者撮影)
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その奇抜なネーミングから一躍注目を集めることになったホテル。変なホテルでは、ロボットがメインスタッフとして働いています。チェックイン手続きもロボット。料金帯も含めローコストであることがテーマですが、環境への負荷もローコストで、空調も環境に配慮した最新設備が導入されています。ハウステンボスの目指す「環境未来都市」がバックボーンになっています。

(筆者撮影)
(筆者撮影)

機能的なレイアウトの客室はシンプルで快適、ローコストといえども決して"変な客室"ではありません。また、客室のキーに最新の顔認証システムを採用、キーレスで滞在できます。いまホテルはシームレスもテーマになりつつありますが、ある意味で火付け役となったホテルであり、その後、各地へ展開することになった変なホテルブランドの端緒になった施設ともいえます。

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多くのゲストを惹きつけるハウステンボスですが、様々なコンセプトを有するホテル群も日々進化しています。アクティビティも楽しみつつ、自然を感じながらゆっくりしたひとときを過ごしたいという欲張りな滞在にも直営ホテルはポテンシャルが高いといえます。

(筆者撮影)
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躍動感溢れる夏、ロマンチックなクリスマスシーズンなど、季節ごとにさまざまな顔を持つハウステンボスにあって、魅力を思い切り満喫できる直営ホテルについて今回解説してみましたが、売却における今後の直営ホテルの動向にも注目していきたいと思います。

※掲載内容や写真は取材時のものであり、実際の利用に際しては最新の情報など公式サイト等で確認いただければと思います。

ホテル評論家

1971年生まれ。一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。ホテル評論の第一人者としてゲスト目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。人気バラエティ番組から報道番組のコメンテーター、新聞、雑誌など利用者目線のわかりやすい解説とメディアからの信頼も厚い。評論対象はラグジュアリー、ビジネス、カプセル、レジャー等の各ホテルから旅館、民泊など宿泊施設全般、多業態に渡る。著書に「ホテルに騙されるな」(光文社新書)「最強のホテル100」(イーストプレス)「辛口評論家 星野リゾートに泊まってみた」(光文社新書)など。

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