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渋谷ストリームと「渋谷川」の遠い幻影【東京都渋谷区】

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

年末年始だけでなく、2月まで点灯している
「渋谷ストリーム」のウィンターイルミネーション。
寒い夜はあたたかな煌めきに癒されますね。

渋谷から代官山方面に向かって約400mに渡ってライトアップされた渋谷リバーストリート
渋谷から代官山方面に向かって約400mに渡ってライトアップされた渋谷リバーストリート

渋谷リバーストリートの点灯は2/20まで、
大階段と館内2~3F吹き抜けの点灯は2/28までだそう。

渋谷川いをまたぐ稲荷橋広場に面した渋谷ストリームの大階段
渋谷川いをまたぐ稲荷橋広場に面した渋谷ストリームの大階段

大階段の電飾「PIECE of PRISM」は、
横から見ると三角形がランダムに配置された
光の抽象彫刻のように見えるけれど…

階段をのぼる小さな男の子も不思議そうに眺めていた光のプリズム
階段をのぼる小さな男の子も不思議そうに眺めていた光のプリズム

階段の真下から眺めると、
ひとつの巨大な三角形が出現する仕掛け。
なんだかperfumeが登場してきそうな雰囲気♪

クレーの絵画のような繊細な色彩の三角形が
徐々に色を変化させていく光景に
つい時間を忘れて見入ってしまいます。

小さな希望が集まり 大きな希望の光になる
という願いを込めた演出だそう。
冬の夜空に輝く星座「冬の大三角形」のイメージも
彷彿しますね。

館内2~3F吹抜け通路の頭上には、
手持ちのスマホと連動するカラフルな
体験型イルミネーション「PRISM SKY」が明滅。

館内にあるQRコードをスマホで読みとると、5つのキーワード(Smile、Dream、Peace、Love、Friends)が表示され、選んだキーワードに合わせた光の演出が展開
館内にあるQRコードをスマホで読みとると、5つのキーワード(Smile、Dream、Peace、Love、Friends)が表示され、選んだキーワードに合わせた光の演出が展開

つらら状のLED電飾に彩られた渋谷川周辺は
まるで近未来映画みたいな雰囲気ですが、
実は渋谷川には古い歴史があります。

渋谷には古来より大小さまざまな川が流れており、
それを代表するのがこの「渋谷川」。
唱歌「春の小川」で謳われているのも
渋谷川の支流(河骨川)の情景だといわれています。
渋谷スクランブル交差点や渋谷センター街にも
昭和初期頃までは渋谷川の支流(宇田川)が
流れていたらしく、大雨の度に洪水騒ぎで
大変だったそう(今は人の洪水ですが…)。

これは幼少期に渋谷で暮らした作家・大岡昇平が描いた
大正時代の渋谷駅付近の超貴重な略図です。
(大岡昇平『幼年』潮出版社、昭和48年より)

渋谷川をまたぐ「稲荷橋」(筆者が赤く囲んだ所)が 今の渋谷ストリームのある辺りだと思われます。
渋谷川をまたぐ「稲荷橋」(筆者が赤く囲んだ所)が 今の渋谷ストリームのある辺りだと思われます。

そういえば、あの「ハチ公」が昭和初期に息絶えた
終焉の地も 今の渋谷ストリームの駐車場付近だったよう。

1998年に公開された村上龍原作・ 庵野秀明初の実写映画『ラブ&ポップ』 のラストでは、女子高生役の仲間由紀恵さんが、制服&ルーズソックス姿で水深の浅い渋谷川をランウェイのようにして凛と歩く姿が鮮烈でした。エンドロールで庵野秀明(新人)となっているのも隔世の感…。

2015年に欅坂46がデビュー曲「サイレントマジョリティー」のPVを撮影したのも、渋谷ストリームの建設現場だったよう。今となっては、『ラブ&ポップ』も「サイレントマジョリティー」も 渋谷の貴重な史料映像ですね。

そして今では渋谷ストリーム14~35Fの高層階に
Googleが本社をまるっと構え、渋谷川をスーンと
見降ろしています。

さまざまな時代の映し鏡のような渋谷川。
こんなに細い川だけど、さまざまなカルチャーに
インスピレーションを与え、清濁あわせ呑んで
どっこい生き抜いていく力強さを秘めているようです。

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渋谷ストリーム
https://shibuyastream.jp/
住所:東京都渋谷区渋谷3
営業:https://shibuyastream.jp/news/newsdetail.php?id=25

writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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