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大エース2人の明暗。バーランダーは6イニング無失点、カーショウは初回6失点でKO

宇根夏樹ベースボール・ライター
D.ロバーツ監督(左)とC.カーショウ。奥はM.マンシー Oct 7, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月7日、レギュラーシーズン通算257勝のジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)は、ディビジョン・シリーズ第1戦に登板した。

 快投、とは言い難かった。最初の2イニングは、どちらも2人の走者を同時に背負い、3イニング目は先頭打者に二塁打を打たれた。けれども、誰にもホームは踏ませず、スコアボートにゼロを6つ並べた。

 アストロズは、7回表から登板したヘクター・ネリスが2人に続けてホームランを打たれ、1点差に詰め寄られたものの、6対4で勝利を収め、バーランダーは白星を手にした。

 一方、同じ日の別の試合では、通算210勝のクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)が先発マウンドに上がった。

 こちらは、立ち上がりから炎上した。二塁打、シングル・ヒット、シングル・ヒット、二塁打、ホームランに、内野ゴロを挟み、四球、二塁打だ。6点を取られ、1アウトしか記録できずにマウンドを降りた。

 オプタ・スタッツによると、ポストシーズンの先発登板で0.1イニング以下&自責点6以上は、ギル・ヘレディア(2000年のディビジョン・シリーズ第5戦)とマイク・フォルテネビッチ(2019年のディビジョン・シリーズ第5戦)に続き、カーショウが3人目だという。

 また、ESPNスタッツ&インフォは、ポストシーズンの登板で最初のアウトを取る前に被安打5本と5失点は、先発登板とリリーフ登板を問わず、カーショウが初、と謳っている。

 レギュラーシーズンとポストシーズンのどちらにおいても、カーショウが先発マウンドに上がって1イニング未満で降板したことは、これまでなかった。1回表あるいは1回裏の失点は、2008年8月28日の5失点が最も多かった。メジャーリーグ1年目のことだ。

 ドジャースの試合はまだ終わっていないが、これを書いている時点では、5回表を終え、0対9とアリゾナ・ダイヤモンドバックスにリードされている。

 バーランダーは、ポストシーズン通算17勝目を挙げ、順位は歴代2位のままながら、1位のアンディ・ペティートまであと2勝に近づいた。カーショウは、この試合で黒星がつくと、ポストシーズン通算13敗目。こちらも、歴代3位は変わらないが――この日の黒星を含めずに――あと1敗で2位のグレッグ・マダックスに並ぶ。最多は、16敗のトム・グラビンだ。

 なお、バーランダーのポストシーズン通算11敗は、ペティートと並んで4番目に多い。カーショウのポストシーズン通算13勝は、19勝のペティート、17勝のバーランダー、15勝のジョン・スモルツ、14勝のグラビンに次ぐ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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