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まん延防止の解除が決まり、解除前でも3連休の国内旅行予約が急増した理由はなぜ?羽田空港駐車場も満車に

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
3連休初日の3月19日の15時45分頃の羽田空港第2ターミナル(筆者撮影)

 3月21日で「まん延防止等重点措置」が全国全てで解除されるが、解除直前の3月19日~21日までの3連休は国内の観光地に多くの旅行客が見えられており、飛行機、国内線、高速道路の利用も増えている。

連休初日、羽田空港の駐車場も年末年始以来の満車に

 羽田空港でも3連休初日の3月19日の朝から多くの旅行客で出発ロビーは賑わった。オミクロン株の感染が急増した年末年始明け以降では最も多くの利用者になっているようだ。年末年始以降、一度も満車になることがなかった国内線が出発する羽田空港の第1ターミナル(JALグループやスカイマークなど)、第2ターミナル(ANAなど)に隣接する駐車場が朝8時前には満車となり、筆者が訪れた16時頃でも行列は短くなっていたが、2つのターミナルにある4つの駐車場全てが満車になっていた。

 現在、国際線の多くの便が運休になっていることで、少し距離が離れている第3ターミナルの駐車場には空車はあるが、国内線のターミナルの駐車場が全て満車になっている状況からも春休みへ向けて国内旅行が戻りつつあることは明らかである。

羽田空港国内線の各ターミナルに隣接する駐車場は全て満車に(3月19日15時40分頃、筆者関係者撮影)
羽田空港国内線の各ターミナルに隣接する駐車場は全て満車に(3月19日15時40分頃、筆者関係者撮影)

3月19日、15時半過ぎでも入庫の列が出来ていた(羽田空港「P4」駐車場入口付近で筆者関係者撮影)※一部画像処理をしております
3月19日、15時半過ぎでも入庫の列が出来ていた(羽田空港「P4」駐車場入口付近で筆者関係者撮影)※一部画像処理をしております

まん延防止の解除方針が決定的になった段階から予約が増え始めた

 この2年間、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の発令・解除を繰り返してきたが、その中で旅行に出かける人の消費者行動の傾向が見えてきている。

 今回、3月21日で東京都を中心とした首都圏、大阪・京都・兵庫などの近畿圏など18の都道府県において、まん延防止等重点措置の解除が決まったが、この3連休はまだ期間中である。しかしながら旅行者が急増しているという現状があるが、これまでも国内旅行の動きとしては、解除日よりも解除の方針が決定的になった段階から予約が動き始め、事実上、解除方針になった段階で、旅行については、まん延防止等重点措置は事実上終了という捉えられ方もしている。

 今回で言えば、3月11日の政府の分科会で新規感染者数か病床使用率のいずれかが低下すれば解除できる新たな基準を設ける方針を明らかにし、12日に岸田文雄首相がGo Toトラベルについて適切な時期に迅速に再開できるように準備を進める方針を表明したことで、21日での解除が決定的になり、国内旅行が動き始めた。沖縄のリゾートホテルに取材をすると、春休み中の予約は好調に推移しており、特に3月11日以降の予約が増えているとのことだ。

3月19日16時頃のJAL便が発着する第1ターミナルの出発ロビー(筆者撮影)
3月19日16時頃のJAL便が発着する第1ターミナルの出発ロビー(筆者撮影)

旅行先の多くは既にまん延防止は解除されており、通常通りに食事が可能

 更に現状のまん延防止等重点措置は、春の旅行先として人気がある沖縄や九州などは、熊本県を除いて既にまん延防止等重点措置は解除されていることで、東京などでは時短要請で21時までの営業でかつ20時までしかお酒が提供されないことに対し、旅行先では時間を気にせずに食事ができることも、この3連休に国内旅行が増えた理由の1つになっている。ただし、3月16日の夜に地震が発生した東北地方では東北新幹線が運転見合わせになっていることで、キャンセルが増えている。

 筆者自身も出張で3月14日~16日まで沖縄・那覇に滞在していたが、那覇の中心である国際通りには、平日でも卒業旅行、修学旅行、家族旅行(若い世代のファミリーが多かった)で沖縄を訪れている観光客の姿が見られ、夕食の時間帯も以前に比べると人が多く集まるようになった。全盛期に比べると静かであるが、少し活気が戻ってきていることを実感した。

沖縄は2月20日にまん延防止等重点措置が解除されたこともあり、3月に入ってから少しずつ観光客が戻り始めている。修学旅行の学生の姿も国際通りで見られた(3月15日、筆者撮影)
沖縄は2月20日にまん延防止等重点措置が解除されたこともあり、3月に入ってから少しずつ観光客が戻り始めている。修学旅行の学生の姿も国際通りで見られた(3月15日、筆者撮影)

那覇空港では学生の春休み期間中と言うこともあり、卒業旅行などで沖縄を訪れる若者の姿が多かった(3月16日、筆者撮影)
那覇空港では学生の春休み期間中と言うこともあり、卒業旅行などで沖縄を訪れる若者の姿が多かった(3月16日、筆者撮影)

この2年間の傾向として、感染者数の絶対数よりも減少傾向が明確になると動き出す

 東京都でも1日あたりの感染者数も3月19日には7444人となっており、1万人を切る日は増えているが、まだまだ感染者数自体は高い水準である。それでも旅行が回復傾向になっていることについては、過去2年間を見ても、人数よりも感染者数が減少傾向に進んできたことが明らかになると、旅行の計画が動き出している。感染者の多くが無症状や軽症であること、更に旅行者自身もマスクの着用、できる限り「密」にならない旅行スタイルを徹底することが確立されたことも大きい。

このまま感染者数が減少すればGWの観光地は多くの人で賑わう可能性が高い

 今後、旅行費用の一部を政府や自治体が負担する「県民割」は4月1日から地域ブロック単位に拡大する方針が明らかとなり、更に感染状況を見ながらGo Toトラベルの再開時期も今後議論されることになる。

 春休みの旅行シーズンには、本格的な旅行の回復までには至らないが、回復傾向に転じたことは明らかであり、感染者数の減少が続けば、最大10連休が可能なGW(ゴールデンウィーク)へ向けての国内旅行予約が動き出すことになり、既に満室になっているホテル・旅館も出ており、感染状況の推移を見ながら予約する人が増えそうだ。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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