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ガソリン価格は2週連続の横ばい、1リットル=164.2円の高値維持

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

資源エネルギー庁が4月23日に発表した石油製品価格調査によると、4月21日時点でのレギュラーガソリン店頭小売価格(全国平均)は1リットル当りで前週比変わらずの164.2円となった。

3月24日時点の159.0円から消費増税を受けて4月1日には164.1円(前週比+5.1円)まで急伸したが、その後も3週連続で164.2円と高値圏での取引が続いている。

都道府県別では、値上がりが19府県、横ばいが14都府県、値下がりが14道県となっている。値上がりは大阪の前週比+0.4円の161.5円、値下がりは和歌山の-0.5円の165.9円がそれぞれ最大になっている。

■原油調達コストの転嫁は遅れがち

ドル建ての中東産原油価格は前週の1バレル=104.65ドルから106.25ドルまで上昇し、東京商品取引所(TOCOM)の原油先物相場(当限)も前週の1キロリットル=6万6,920円から6万7,680円まで小幅ながら上昇している。

ただ、消費増税後の末端需要がやや不調になっているため、原油調達コストをガソリン価格に転嫁する動きは鈍く、多くの小売店で横ばいに留まった。消費増税前の駆け込み需要の反動は一服しているが、ガソリン価格は前年同期を10.1円も上回っていることもあり、高値が消費者の買い控えを招いている。原油調達コスト環境から考えれば、本来は若干の値上げが要求される所であるが、販売戦略上の観点から値上げができなかったのが実態だろう。

足元では、各種メディアでも報じられているようにウクライナ情勢が緊迫化する中、地政学的リスクが原油相場を押し上げている。欧州とロシアとの対立が強まる中、ロシア産原油供給に何らかの障害が発生するリスクが強く警戒されている。ウクライナ、ロシア情勢の緊張状態が続く中、原油価格の大幅な値下がりは想定しづらい。

一方、北半球はドライブシーズン前の不需要期とあって、消費国の在庫は積み上がっている。米国では製油所の集中するメキシコ湾岸の原油在庫が過去最高を更新するなど、需給は緩んでいる。このため、ウクライナ情勢に対する関心が低下すると、原油価格は瞬間的に安値が示現する可能性は残されている。

ただ、5月以降は徐々に世界的に製油所稼働率が上昇することで、原油価格は高止まりが基本になる。現在は年間で最も需給が緩む時期になるが、その時点でガソリン価格が164円台という高値圏での取引になっていることは重く受け止める必要がある。これから国内でも連休に向けて需要環境が回復し易いことを考慮すれば、ガソリン小売価格も現行価格水準での高止まりが基本になるだろう。今後はじり高傾向が強まるとみられ、少なくとも大幅な値下がりは想定しづらい。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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