法務省は違法な収容をやめて―難民や弁護士らが会見、衰弱したハンスト参加者らが再収容の危機
法務省・出入国在留管理庁(入管)が難民や日本人と結婚した人など帰るに帰れない人々をその収容施設に「収容」している問題で、ハンガーストライキを行い体調を崩した被収容者達が仮放免されたものの、わずか2週間程度で再収容されるということが相次いでいる。こうした中、今日13日、イラン人男性とトルコ籍クルド人の男性と弁護士らが記者会見を行い、再収容の危機、その非人道性を訴えた。
○命がけのハンガーストライキ
「明らかに異常事態」―難民や在日外国人の支援に携わる関係者らは口をそろえて言う。入管が「収容」した人々の仮放免を原則認めないとの状況が一年程前から続いているのだ。「退去強制」の対象にされ、収容施設に収容されている人々の多くが、難民であったり、日本人と結婚しており生活の基盤が日本にあるなど、母国に帰るに帰れない人々である。今年6月から東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で100人以上の被収容者達が解放を求め、ハンガーストライキを開始した。関係者らによれば、家族に遺言も伝えるなど収容され続けるくらいなら、自ら命を絶つことも辞さないとのことであると、命がけのハンガーストライキであるという。
長崎県の大村入国管理センターでは、今年6月、日本国籍の子どもの父親でありながら、3年7ヶ月もの間収容され続けていたナイジェリア人の男性が、ハンガーストライキ中に意識不明となり、搬送先の病院で亡くなるということがあった。この件を受け、牛久などでは、体調を崩したハンスト参加者達を、入管側は「収容に耐えられない」と判断して仮放免を許可した。だが、そうしたハンスト参加者を、入管側が2週間程度で再び収容してしまうということが相次いでいるのだ。
こうした中、本日会見を行ったのは、イラン国籍のサファリ・ディマン・ヘイダーさんと、トルコ籍クルド人のデニズさん(ファーストネームのみ公開)。サファリさんは今月14日、デニズさんも同16日、東京出入国在留管理局(東京入管)に出頭することが求められ、そのまま再収容される恐れがある。
サファリさんは母国での迫害の恐れから難民申請中であったにもかかわらず、2016年7月から「入管の都合で」(本人がそう入管に言われたとのこと)、3年1ヶ月にわたって収容され続けていた。今年6月からサファリさんはハンストに参加、体重が15キロも減少し、幾度も吐血、昏倒するなど体調が著しく悪化。今年7月末に仮放免されたものの、医師からは抑うつ状態と診断され、十二指腸潰瘍の疑いもあるなど、現在もサファリさんの体調は回復していない。自由を奪われることによる極度のストレスや、医療体制の不備が指摘され、実際に何人も死亡者を出している入管の収容施設*へのサファリさん再収容は、最悪の場合、命にも関わることにもなりかねない。
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○現在行われている収容は違法
入管の闇の深さが日本社会の中で十分認識されていないためか、また外国人への差別や偏見のためか、こうした問題を報じる度に「不法滞在なのだから、収容は当然」という、心無いコメントをSNSに書く人々も一定数いる。筆者の記事に対してもそうしたコメントがつくこともある。だが、被収容者達のハンガーストライキと、入管側の対応についての、「全国難民弁護団連絡会議」と「全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い」の声明でも、強調されているように、現在行われている収容は、入管法から観ても大いに問題があるのだ。
本日の会見で、入管問題に詳しい大橋毅弁護士は「難民や帰るに帰れない事情を持つ外国人の人々に苦痛を与え、心を折るために収容が使われている。(人々を無理やり追い返すという)政策のために国家が人々に苦痛を与えるということは、もはや拷問と言うべきです。本当に恐ろしいことですし、あってはいけないこと」と語った。
サファリさんは「逃げも隠れもしません。ルールを破ることは好きではないので」として、明日朝9時に、東京入管に出頭する。支援者の人々も東京入管前に朝から集まるとのことだ。上記声明にもあるように、法令上は、収容とは、強制送還の際に逃亡の恐れがある場合に行うものだ。法務省・入管は、これ以上、再収容=入管法違反の人権侵害を続けるべきではないだろう。
(了)
*本稿では、主にサファリさんについて取り上げたが、デニズさんについても別途記事を配信する予定だ。