金正恩が女性3人を処刑した「喜び組」の禁断情報
英BBCは6日、5月に家族とともに漁船に乗って北朝鮮を脱出した30代のキムさんとのインタビューを報じた。キムさんによると、北朝鮮当局は最近、韓流コンテンツに対する取り締まりと処罰の度合いをいっそう強めており、昨年4月には知り合いの22歳の青年が公開銃殺される様子を強制的に見せられたという。
北朝鮮から外に逃れてきた人物の目撃証言としては、おそらくこれが最新の処刑情報だ。この証言により、最高刑を死刑とする反動思想文化排撃法の厳格な運用が改めて確認された。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
北朝鮮で韓流コンテンツの取り締まりが厳しくなり、処刑まで行われるようになったのは2015年頃のことだ。同年9月、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が、「韓国と通話した」という罪状で女性3人が銃殺されたと報じたが、RFAはその後の追加取材で動画ファイルの販売が銃殺の本当の理由だったと訂正した。
筆者は当時「いくら北朝鮮当局といえども、ラブストーリーや時代劇などの韓流ドラマを流通させた程度で処刑されることはない」と考えた。そこで調べて見ると、彼女らが売っていた韓流ドラマが1998年に韓国KBSで放送された「ツツジの花が咲くまで」だった可能性の高いことがわかった。
ドラマ「ツツジの花が咲くまで」は、1995年に脱北し韓国に亡命したシン・ヨンヒ氏のエッセーをドラマ化したもので、脚本を担当したチョン・ソンサン氏も脱北者だ。内容は「喜び組」の日常を描いたもので、金正日氏の豪遊ぶりや派手な性生活を描いたものだ。
国内で出回っては、金正恩体制にとっては不都合きわまりないシロモノと言える。
つまり、このときの処刑は「韓流ドラマを売ったから」というよりは、そのドラマの内容が理由だったと見ることができる。そして当局は、こうした罪状を明らかにすることが、逆にドラマへの好奇心を高めてしまうと警戒して、「通話うんぬん」の話で事実を隠蔽したのだろう。
ところが今では、ドラマの内容などおかまいなしに処刑が行われている。2015年当時、「こんなにひどい話があるか」と思ったものだが、金正恩総書記の残忍さは、こちらの感覚をはるかに凌駕している。