新型コロナの誕生は昨年9月13日~12月7日 英ケンブリッジ大チーム 地域適合型の変異を繰り返す
[ロンドン発]新型コロナウイルスの全遺伝情報(ゲノム)を解析する英ケンブリッジ大学のピーター・フォスター博士らの研究チームは「ウイルスは3つに大別でき、コウモリから人間に感染したのは9月13日から12月7日の間」との見方を示しました。
米科学アカデミー紀要に掲載された論文やケンブリッジ大学のホームページ、中国国営メディアCGTNのフォスター博士へのインタビューを見てみましょう。
昨年12月24日から今年3月4日までの間に検出され、グローバルイニシアチブ(GISAID)で共有されている160人分の新型コロナウイルスのゲノムを遺伝的ネットワーク手法で分析したところ3つの型に大別できました。
(A型)アウトブレイクの根源。中国雲南省のコウモリや、ウロコで覆われた希少な哺乳類センザンコウから検出されたウイルスに最も近い。今回のパンデミックのエピセンター(発生源)とされる中国湖北省武漢市でも見つかったが、武漢市で流行したのはB型。アメリカやオーストラリアの患者からも派生したA型が見つかる。
(B型)A型から変異。武漢市を中心に中国や近隣諸国に蔓延。「B型は免疫学的または環境的に東アジアの人口の大部分に適応する可能性がある」(フォスター博士)。
(C型)B型から変異。イタリア、フランス、スウェーデン、イギリスの初期の患者にみられる主要な欧州型。初期の中国本土のサンプルからは見つからなかったが、シンガポール、香港、韓国では検出されている。
欧州のエピセンターであるイタリアへの感染は1月27日のドイツ由来と、シンガポール・クラスターが関連していたとみられています。
フォスター博士らは解析する新型コロナウイルスのゲノムを1001人分に広げたところ、変異する速度などから「95%の確率でコウモリから人間に感染したのは9月13日から12月7日の間とみられる」と証言しています。
欧米の医学者らが運営する新型コロナウイルスのゲノムに関する専門サイト「ネクストストレイン」を見ると、ウイルスが変異を繰り返しながら中国から世界に広がっている様子が分かります。データによるとウイルスが平均15日ごとに変異しているそうです。
新型コロナウイルスはそれぞれの地域や人種の免疫力に合わせて変異を繰り返しながら感染しているとみることができます。
フォスター博士によるとコウモリから人間に感染したのがオリジナルウイルスで、人造ウイルス説や中国科学院武漢ウイルス研究所から漏れたという説は退けられたかたちです。
また地域適合、適者生存しながらウイルスが世界中に蔓延しているためワクチンや治療法も万国共通というわけにはいかない恐れがあるようです。
(おわり)