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ワクチン接種に便乗する詐欺の手口は、今月に入り、どのように変化? [追記] 予約偽サイトも現る。

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

今もなお、新型コロナワクチン接種を優先的にできるという偽電話は引き続きかかってきていますが、6月に入り、新たな手口も出てきています。

国民生活センターに、ワクチン接種の詐欺に関する、相談状況を聞きました。

同センターに寄せられた、新型コロナワクチンの接種に関する相談件数は、6月14日現在で78件です。

医療従事者、高齢者等へのワクチンの総接種回数は、2503万8536件(6月14日現在・内閣官房内閣広報室HP)になり、全国民に向けての接種が本格化してきているなかで、詐欺の手口の変化もみられます。

それは、ショートメッセージ(SMS)からのアプローチです。

70代男性のもとに「ワクチン接種のキャンセルに関する通知」というSMSが届きました。「そこに載っている番号に電話をしてみましたが、つながらなかった」と言います。

もし相手と話をしていた場合、「キャンセル料」などの名目でお金を取られていた可能性があり、電話がつながらず、ことなきをえたという感じです。

今や、高齢者でもスマホや携帯を持つ方は多いので、この手の詐欺には注意が必要です。

今、職域接種など、65歳未満へのワクチン接種も始まろうとしており、もはやターゲットは高齢者だけではなくなってきています。

30代女性のもとには「ワクチン接種の無料予約、受付中」というSMSが届き、アプリをインストールするようになっていました。

30代男性のもとにも同様なものが届き、「ワクチン接種の予約用のURLをタップしてしまった」という相談もあります。

これまでも宅配業者を装ったSMSが多く送られてきており、メッセージのリンクをタップして、アプリをインストールしてしまったために、自分のスマホが踏み台になって、同様な内容の偽SMSが不特定多数に送信されてしまい、知らぬ間に通話料が高くなってしまうケースや、「ID、パスワード」を入力する画面が出てきて、情報を入れてしまい、不正利用されて金銭的な被害が出ることもあります。

「ワクチン接種に関するSMSの相談は、6月に入ってから出てきていますので、今後増えてくる恐れがあります」と、同センターの担当者は警鐘を鳴らします。

偽電話の手口にも変化がみられる。

以前に起こっていた自治体職員を名乗って「ワクチン接種の予約代行をする」と訪問してきたといった相談は、このところ寄せられなくなってきているとのことですが、相変わらずワクチン接種に関する電話はあるそうです。

70代男性のもとに、自治体から「ワクチンの予約時間が変更になりました」という電話がかかり「わかりました」と答えてしまったが、その後に家族が着信番号をみると、役所のものとは違っており、自治体でもそのような電話はしていませんでした。

この他にも、「ワクチン接種事務局」を騙り、80代の方のところに電話がかかってきて、「名前などの個人情報を答えてしまった」という相談もあります。

こうした不審な電話は特殊詐欺につながるアポ電(詐欺の前触れ電話)の可能性があり、充分な警戒が必要です。

あくまでも寄せられた相談は一握りのものですので、もっと膨大な数の詐欺につながる電話が全国にかかってきているはずです。知らぬ間に詐欺犯に情報を伝えるなどして、詐欺に片足をつかまれた状況の高齢者の方もいるかと思われます。

今後も、すでにワクチン接種の予約が進む実情に合わせて、「予約変更」や「予約キャンセル」などの電話がかかってくると思われます。

今は、役所からワクチン接種に関する電話が絶対にかかってこないとはいえない状況です。

自治体からかかってきた、どの番号が正しいのか電話を取った人にはわかりませんので、常に正式な自治体の番号に折り返して確認することが大事になります。」(同センター)

この時勢、ひと手間かけての確認は必須事項です。

[追記6/17]

新型コロナワクチン接種予約サイトのURLに関する注意喚起 (静岡市HP)

コロナワクチン 静岡市接種予約の偽サイト存在 URL酷似、静岡県警が注意呼び掛け

(静岡新聞)

URLが一文字違いの偽サイトで、手入力ミスを狙ったものであると注意喚起されています。

今後も、こうした偽サイトは、スマホを使いこなす世代のワクチン接種が本格的に始まれば、相当数出てくると思われますので、ご注意をお願いします。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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