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Facebookにコロナ政策をホロコーストに例えたシャツ「今は1941年のドイツ」広告掲載で炎上

佐藤仁学術研究員・著述家
(Facebook広告より作成)

ホロコーストに例えられやすいコロナ対策「ゆっくりと静かに、そしてホロコーストが始まろうとしている」

Facebookの米国でのページに新型コロナウィルスのワクチン接種やマスク着用義医務課に反対して、ナチスドイツが支配していた第二次世界大戦時にユダヤ人を差別迫害していたホロコーストに例えたTシャツやスウェットなどの広告が掲載されていた。CNNでも報じられてネットでも炎上している。

「Slowly and quietly, but it's a Holocaust(ゆっくりと静かに、そしてホロコーストが始まろうとしている)」「I'm originally from America but I currently reside in 1941 Germany(私はアメリカで生まれましたが、今私が住んでいるのは1941年のドイツです)」と書かれたシャツやスウェットの広告がFacebookに掲載されていた。

欧米ではワクチン接種を希望している人も多いが、政府からワクチン接種を強制されること、レストランなどに入る際にワクチンパスポートの提示の義務化に反対している人も多い。日本人はマスク着用は義務化されなくても自主的にしている人がほとんどだし、新型コロナ対策のためのワクチン接種に反対する人も少ない。だが欧米では個人の選択の自由を侵害されることを嫌う人が多く、どのような政策であっても政府や自治体から義務化されたり強要されることに、頑なに反対している人もいる。

第二次世界大戦の時に、ナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。欧米では「ロックダウンで外出が制限されたり、マスクの着用を義務付けられたり、ワクチン接種を強要させるといった、不自由な生活=ホロコースト時代のユダヤ人がゲットーに閉じ込められて迫害された不自由な生活」、「政府による強制的なロックダウンやマスク着用、ワクチン接種=ナチスドイツの全体主義」というイメージを持つ人が多い。そして、このようなシャツやスウェットを着て、マスク着用義務化やワクチン接種の義務化の反対デモに参加してアピールしている。

そして欧米では新型コロナウィルスのパンデミックの不自由な状況やマスク着用の義務化、ワクチン接種の強制をホロコーストに例えるたび、当時のユダヤ人の悲惨な境遇や生活とは異なると、「ホロコーストに例えることは犠牲になったユダヤ人に失礼だ」「迫害されていたユダヤ人とは状況が違う」などと言われていつもネットで炎上している。

炎上必至のホロコースト関連のファッション

ホロコーストやナチスドイツに関するファッションや商品は販売されると必ず炎上する。ユダヤ人が収容所で着ていた囚人服に似ていたり、ユダヤ人が差別されるために着用を義務付けられた黄色のダビデの星をつけた服など露骨なファッションもある。そのような商品は「ホロコーストの犠牲者に対する敬意がない」「生存者や家族が見たら、どのような思いをするのか考えよう」と毎回炎上する。また露骨な反ユダヤ的なファッションについては世界中のユダヤ団体やホロコースト博物館、著名人らも反対や商品の撤収をSNSで呼びかけることから、いっそう話題になる。だが、それでも懲りずにこのような商品が登場する。毎回「ホロコースト関連の商品を販売する」→「ネットで炎上し、拡散される」→「商品を撤収したり、謝罪する」の繰り返しで、もう欧米では過去に何回もあった。

一方で、ホロコーストをテーマにしたファッションは、必ず炎上するので、それによって拡散し、話題になるので知名度を高めたり、サイト内の他の商品を見てもらおうとマーケティング目的で行うケースもある。どれだけネットで叩かれて炎上しても、商品を撤収しないで販売を続けることもある。

(Facebookより)
(Facebookより)

(Facebookより)
(Facebookより)

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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