オールスターに「夢」を取り戻すためにファンがなすべきこと
マツダオールスターゲーム2014のファン投票の第1回中間発表が9日に行われ、セ・リーグではファン投票で選出される11選手中、7人が広島の選手に占められた。中には三塁の堂林翔太のように、故障で5月上旬から戦列を離れている選手もいる。「夢の球宴」はどこに行ってしまったのか。
私にとって、プロ野球オールスターゲームは「夢の球宴」だった。少年時代は1971年の江夏豊(阪神)の9連続奪三振や74年の高井保弘(阪急)の代打逆転サヨナラ本塁打に胸を躍らせた。長じては84年の江川卓(巨人)の8連続奪三振にテレビの画面にしがみついた。比較的近年では2001年が印象深い。イチローがマリナーズでデビューしたこの年は野球ファンの間でMLBが何かと話題になり、国内の報道でも「こんなに素晴らしいメジャー、それに対し日本は・・・」という論調が相次いだ。危機感を持ったNPBは川島廣守コミッショナーの掛け声もあり、セの松井秀喜(巨人)、パの中村紀洋(当時近鉄)の両4番が全試合フル出場したのだ。
ファン投票は基本的には人気投票だ。かならずしも各ポジションでNo1の成績を残している選手がトップになる必要はない。しかし、単なる人気投票であっては寂しい。ひいき球団の選手に投票したいファン心理は当然だが、超一流の選手だけが集う場に応援する選手が出場するからファンは喜びを感じるのだ。そして、「超一流だけが集う場」を作るのもファンだ。ファンはその誇りを持って投票して欲しい。もし、このまま堂林が選出されることになると、彼自身が心苦しい思いをするのではないか。
また、特定の球団の選手が不自然に投票上位を占めるのは決して珍しい現象ではないが、その背景としてはインターネット時代でありながら減少傾向の投票総数がある。また、投票期間の短さやプロモーションの不足も今回のような事態の要因になっていることも否定できない。
もちろん、ファンの投票意欲を煽るには試合内容も重要だ。昨年は、西武の牧田和久の公式戦では見せないサイドスローや、西岡剛、中田翔、藤浪晋太郎の大阪桐蔭組によるエセ乱闘など見るに堪えない場面があった。これらは、野球という競技に対する敬意を欠く行為だと思う。
現在においては、オールスターはもはや「夢の球宴」ではないかもしれない。しかし、「夢の」ものにするのは、主催者、選手、そしてファンに掛かっている。