2022年ベストラーメンTOP10!全国のラーメンを食べ歩くラーメンライターが厳選
今回は、2022年に私が食べたラーメンの中で、特に思い出に残った10店をご紹介したい。
ベスト10を決めるにあたって、何度か訪れているお店(リピート店)は除外させていただき、あくまで私が今年初めて訪れたお店に限定し、何とか10店に絞ってみた。
ぜひ食べ歩きの参考にしていただければ幸いだ。
第10位.麺屋HERO(駒込)
今年6月にニューオープンした二郎系の人気店。店主は「ラーメン二郎 桜台駅前店」出身。
注文は「ラーメン」+ニンニク少し。少な目、半分、ミニというのもあってビギナーにも良心的なお店。
具はブタ、モヤシ、キャベツ、うずらの卵。麺は極太平打ち。
豚骨スープはしっかり乳化していて最高。ブタは大きくて脂身もちょうどよく、噛みごたえしっかり。うずらは味付きでちょっと燻製っぽい香りが特徴的だ。
かなりハイレベルで好感触。あっという間に大人気店に上り詰めた今かなり勢いのあるお店。
第9位.柳麺 マタドール(北千住)
北千住にあった「マタドール」の味噌専門店が9年半で閉店し、「柳麺 マタドール」として6月にリニューアルオープン。マタドールといえば「牛骨」で有名で、どのお店も牛のお店だったが、ここに来て遂に牛以外を解禁。
こちらが「贅沢醤油らぁ麺 極」。
具はバラチャーシュー、肩ロースチャーシュー、味玉、メンマ、ネギ。麺は細めストレート。
丼から香る香りからして最高。スープには鶏、豚、魚介などとんでもない量の素材がこれでもかと詰まっていて、旨味が丼からバクハツしているような感覚。清湯で落ち着いた見た目ながら複合的なダシ感はトップレベル。
チャーシューも最高。大ぶりながら柔らかく、バラとロースそれぞれの良さが見える。
とんでもない一杯の登場。必食。
第8位.たちばな家(檜原村)
東京都唯一の村である檜原村にあるお店。1947年創業。目の前には秋川渓谷が広がる。
こちらが「らぁめん(醤油味)」。
具はチャーシュー3枚、青菜、ノリ、メンマ、ナルト、ネギ。麺は中太ストレートの自家製手打麺。店頭では店主が一生懸命麺を打っている。
スープは透明感がありあっさりしているが、とんでもないダシ感で最高に旨い。このノスタルジックな雰囲気からは想像もできないダシ感に驚く。
手打麺はモチモチでムチムチ。見た目以上に主張があり、太さの割にしっかり縮れがあるのでスープに馴染む。青菜のシャキシャキ感とのコントラストがまた良い。
風光明媚な場所で手の込んだ最高の一杯がいただける。これはオススメだ。
第7位.しおらーめん進化 2nd(鶴川)
塩ラーメンの名店「進化」のセカンドブランド店が鶴川にオープン。
こちらが「しお全部入り」。
具は豚チャーシュー、鶏チャーシュー、青ネギ、ネギ、味玉。麺は太め平打ちの自家製麺。
スープは名古屋コーチンの丸鷄を中心に20種類以上の食材を使用。新しさの中に懐かしさが共存していて飛び上がる旨さ。そこに絡む太麺がまた最高の存在感。
豚チャーシューは香ばしい吊るし焼きで、鶏チャーシューはとても柔らかな真空低温調理のもの。塩の味玉も美味しい。
店主の関口さんが今一番食べたい塩ラーメンを作ったそうだが、温故知新で最高な一杯。
第6位.ラーメン 一番(小竹向原)
1984年創業の環七沿いにある人気店。歴史あるお店だが、いまだに寒い中店の前にはずっと行列ができている。
こちらが「一番ラーメン 正油味」。ここに「オロチョン」を付けて辛味をプラスする。
具はチャーシュー3枚、味玉、大盛りコーン、モヤシ、メンマ、ネギ。麺は中細ストレートの豊華食品製。
濃すぎずシャバすぎないスープにオロチョンがいいアクセントになり、背脂の程よい甘味が良い。麺はスープを吸いやすいように作ってあり、持ち上げが凄い。
しっとりとした仕上がりの大きなチャーシューは噛みごたえがしっかり。
80年代のお店で、ラーメン自体は懐かしい雰囲気なのだが、随所に仕事が光り、素晴らしい一杯になっている。長く愛される理由が一杯でわかる名店。
第5位.ラーメン 清水家(茅ケ崎・辻堂)
横浜・上星川にある横浜家系ラーメンの名店「寿々㐂家」出身で、2010年オープン。
「ラーメン 並」をお好みすべて普通で注文。店内はアメリカンロックとハードロックがガンガンに流れる。
具はチャーシュー、ほうれん草、ノリ3枚、ネギ。麺は酒井製麺。鶏油が多めだが、豚骨と醤油のバランスがピカイチ。骨のダシ感をしっかり感じるスープに悶絶。麺はしっかり茹できってあって美味しい。丁寧な仕事が光り、唸る旨さ。ほうれん草はたっぷりで、チャーシューもホロホロ。
家系の良さを一杯でこれでもかと感じられる名店。
第4位.千葉家(みつわ台)
1999年創業。「本牧家」出身で、千葉の家系ラーメンの先駆け的なお店。
看板は黄色で、「家系」とは全く書いていない。むしろ二郎系のようにも見える。今の家系の流行の香りを全く感じさせない外観。
こちらが「ラーメン(並)」。チャキチャキの女将さんが注文を全部暗記しているのが凄い。そして店主さんの仕事が美しい。
具はチャーシュー、ほうれん草、ノリ3枚、ネギと家系のお決まりのトッピングだが、見た目は全然違う。大ぶりのチャーシューにほうれん草の量が嬉しい。麺は酒井製麺の平打ち太麺。
骨のダシ感をじんわり感じるスーパーオールドスタイルだが、旨味十分で最高に美味い。鶏油がスープをさらにマイルドにして、いくらでも飲めてしまう素晴らしいスープ。ただ古いということではなく、今食べても感動を覚えるスープだ。
麺もしっかり茹でられ、チャーシューも分厚く柔らかい。どこまでもじんわりとした、家系の本来の良さに立ち帰れる名店。
第3位.特麺コツ一丁ラーメン(幡ヶ谷)
2000年オープンの老舗。今まで食べ逃していたことを恥じたい。店主は千駄ヶ谷「ホープ軒」出身。
こちらが「ワンタンメン(ニンニクあり、油多め)」。
醤油ダレの上から背脂を入れ、その上に豚骨スープを注ぐ。具はチャーシュー、ワンタン、ネギ、メンマ、温泉卵。レンゲの上に生ニンニク。麺は太め平打ち縮れの自家製麺。
上質な背脂の甘さが際立つ豚骨スープに、モチモチパツパツな低加水麺。かなり独特な感じだが、これがいい個性になっている。存在感がしっかりありながら、スープの持ち上げも最高。
分厚くて柔らかいチャーシューも最高。ワンタンもいい仕上がり。温泉卵がのっているのもオリジナリティ。ノスタルジック感とボリューム、満足度と独創性を兼ね備えた無敵の一杯。これぞ唯一無二なラーメンといえよう。
第2位.自家製麺 支那そば 福々亭(伊東)
1999年創業の「支那そばや」出身の名店。伊東駅からすぐ。
こちらが「醤油ワンタンメン(豚バラ)」。店主の手さばきを見ているだけで名店だとわかる。
カウンターの後ろを見ると店内は店主が大好きな山下久美子の写真やポスターがたくさん。暖簾の文字も山下久美子筆らしい。
具はチャーシュー、ワンタン、メンマ、ノリ、青ネギ。麺は細めストレートの自家製麺。
油に頼りすぎないダシ感の溢れるスープは超絶品。実に複合的な旨味で、昆布のダシがじんわり抜けてくるのが最高。柔らかめに茹でられた麺はしなやかで、喉越しも良い。平ざるでビシッとあげるのが実にカッコいい。
とろけるチャーシューや餡のしっかり詰まったワンタンも最高。メンマも歯応えがあり、素晴らしい仕上がり。ネギの細い切り方までまさに「支那そばや」譲りな感じで感服。
さらにコショウは醤油ラーメン用と塩ラーメン用で分かれている。スープを邪魔しないスパイス感はさすが。
全てが完璧で脱帽。これぞ職人の仕事と唸らされる最高の一杯だ。
第1位.ラーメン 雪ぐに(中田)
2015年創業で、店主は新潟・妙高の「食堂ミサ」出身。立地がいいわけではないのに、待合室に加えて外待ちまで出ていて凄い人気のお店。
「味噌」をニンニクありで注文。アットホームで温かな店内の雰囲気が最高。地元の小学生からの手紙や自由研究などが貼ってあって、店員さんの接客も最高にいい。並んでいるにもかかわらず、食べる前から気分がいい。
具はチャーシュー、ひき肉、タマネギ、モヤシ、ネギ。麺は細め縮れの自家製麺。
鶏、豚、魚介のスープに3種の味噌を合わせた味噌ダレ。ノスタルジックにまとめながらしっかりとしたコクが最高。田舎っぽい縮れた細麺はなんと自家製麺。
ニンニクでさらに中毒性を増すと、もうやめられない旨さに。チャーシューは吊るし焼きで程よい燻香と噛みごたえ。濃厚すぎないのにこの旨さはまさに理想。幸せを感じる名店だ。
なお、こちらのベスト10は私がパーソナリティを務めるインターネット番組「ラーメンミュージシャン井手隊長の 今3時?そうねだいたいね」でも紹介しているので、ぜひYouTubeでもチェックしてみてほしい。
※写真はすべて筆者による撮影