4月5月6月の残業が多いと手取りが減る?FPが教える、給料明細で見るべき3つのポイント
新社会人の皆さんも多いでしょう。皆さんは毎月の給与明細を確認していますか?振込額(手取額)だけを確認している人も多いかもしれません。しかし、給与明細を見ないのは非常に危険なのです。給与明細で見るポイントは大きく次の3つです。
給与明細は次の3つを見ればよい
給与明細は基本「勤怠」「支給」「控除」の3つで構成されています。
「勤怠」とは、「勤務日数」や「欠勤日数」「残業時間」「有給消化日数」などを示す欄です。残業時間などは間違いがないか確認をしましょう。
次に「支給」とは、会社から支給される報酬です。「基本給」に加えて、「役職手当」や「家族手当」「住宅手当」「通勤手当」「時間外手当」などから成り立ちます。
「給与の2.5カ月分」などのボーナスが夏期や冬期にある場合は、原則として「基本給」をベースに計算されます。そのため、基本給に加えて手当が上乗せされている人はボーナスが少なく感じるかもしれません。
それから、「額面は結構あるのにどうして税金がこんなに引かれているんだろう?」と思っている人も多いかもしれませんね。その正体は「控除」です。基本給と手当など報酬から控除されているものは「税金」と「社会保険料」の2種類です。特に社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)は高額になるので内容を知っておきましょう。
厚生年金保険料は納めることにより将来年金として戻ってきます。しかし、給与明細をきちんと見ていないと、将来もらえる年金額が少なくなるということもありえます。少し前に「宙に浮いた年金記録」についてメディアなどで騒がれましたが、記録の付け合わせが進み、現在は誤りがある場合は事業主側の問題が多いそうです。給与明細とねんきん定期便や年金ネットで報酬額が正しく記録されているのか付け合わせをすると安心です。
厚生年金保険料の自己負担分は9.15%です。総支給額にざっくりこの割合をかけて金額がかけ離れていないか確認をしてみましょう。厚生年金の場合、給与明細がないと将来もらえる年金額を正確に計算することがむずかしいです。ねんきん定期便や年金ネットで報酬額に誤りや漏れがないかをチェックするまでは給与明細を捨てずに保管しておきましょう。
厚生年金保険料とともに引かれている金額が多いのが健康保険料です。厚生年金保険料は将来年金としてもらえる積立てですが、健康保険料は掛け捨てです。せっかく高い保険料を払っているのに病院に行かないのはもったいないことです。具合がわるいと思ったら病院に行くというのもよいでしょう。
社会保険料とともに引かれているのが所得税と住民税です。所得税は毎月の給与から源泉徴収されていますが、1年間の給与総額が確定する年末に年末調整をして正しい税額を計算し、徴収された税額との過不足を精算します。住民税は昨年の分が本年の6月から給与天引きされます。入社1年目は住民税の徴収はなく、2年目の6月以降は住民税が引かれるので銀行振込額が入社1年目より少なくなるケースもあります。
注意点1:4月5月6月の残業には要注意
社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額は、4月から6月の給与(手当等を含む)をもとに計算します。そのため、4月から6月の残業(残業手当)が大きく影響します。よく専門家は「4月5月6月(残業手当の支給月が翌月の場合は3月4月5月)の残業には気をつけて」と言うのはこのためです。
注意点2:通勤手当には要注意
また、注意すべき手当があります。それは通勤手当です。勤め先から交通費が全額支給される場合、家賃を抑えるために遠方に住むという選択肢を考える人もいるでしょう。通勤手当として支給される交通費には一定額までは所得税がかかりません。しかし、社会保険料の計算上は、これを標準報酬月額に含めなければなりません。つまり納めなければならない社会保険料が上昇するということになります。
毎月給与明細をしっかりと見ることによって、多少なりとも引かれている「控除」をコントロールさせること、お金の計画を立てることができ、税金や社会保障の仕組みやお金に対する興味もわくようになりますよ。