解禁日に既に内定率7割、後付け推薦問題で揺れた24就活を学生たちはどう捉えていたのか。本音に迫った
コロナ禍がようやく変化して経済活動の回復が進み、企業は再び人材獲得競争を激化させ始めている。2023年6月1日の新卒採用選考解禁から既に2カ月が経過した2024年卒採用は落ち着きをみせているが、既に2025年卒向けのインターンシップが本格化している。
大学1年生の前期は大学に通っていなかった
コロナ禍で入学した2024年卒の学生たちは、初めての緊急事態宣言発出直後に入学した学年で、授業のほとんどがオンライン化され、課外活動もできないという1年を過ごしたことになる。急遽、授業がオンライン化され、行動制限により、これまでの日本の大学生たちとは全く異なる大学生活を送ってきている。それが故にコロナ禍で受けた影響は大学生たちの人生、キャリアについての意識までも変化させた。
採用活動の早期化は加速
3月採用広報解禁、6月選考解禁という採用の日程ルール変更から既に8年が経過。コロナ禍で新卒採用が大混乱した時期もあったが、結果、企業の採用活動は早期化が一層進んでいる。
ハイブリッド就活が常態化
コロナ禍で企業の課題として毎年話題になる学生の選考段階での辞退者数、内定者辞退者数も2024年卒向け新卒採用でも増加しているようだ。オンラインとリアルのハイブリッド就活の影響で学生としては多くの企業にエントリーはできるが、リアルな接点数が減少したこともあり企業をより深く理解することが難しくなり、辞退数も増加している。
就活生は至って冷静
企業は再び新卒採用が激化し始めたことを2024年卒向けの採用活動を通じて感じている。一方で2024年卒の学生(就活生)は自分たちが活動した2024年卒向け新卒採用市場をどのように捉えていたのか、都内某大学に通う2024年卒の学生に対して、講演後のディスカッション時に実際に話を聞いてみた。
――解禁日6月1日に既に内定率7割という情報をどう思った?
24卒Aさん|自分も周囲の友人も昨年の夏から大手のインターンシップに参加したので、そこでこれはもう選考が始まっているんだと認識を高めました。インターンシップという名の、会社説明会でその後にワークショップがあって人事の方々がボードに評価シートを付けて歩き回って、評価してましたので…(笑)
24卒Bさん|私も同じようなインターンシップでの体験をしていて、選考目的ではないと説明がありましたが、インターンシップに参加してから数日後に人事の方から電話があって特別選考に案内をしたいとご連絡を頂きましたが、一緒に参加した学生は連絡がなかったようです。
24卒Cさん|正直、学生も大人の事情は理解していて選考解禁前に外資系やベンチャー企業、一部の大手が選考・内定出しを早期にしているので、6月1日解禁では良い学生がいないということで、インターンシップという名で学生を評価してリクルーターなどを付けているんだと理解してます。
24卒Bさん|学生からすれば、解禁日とかって関係なくて…、選考さえちゃんとして頂ければ大人の事情はどうでもよいのでは?ただ、企業や業界ごとに選考時期が違っていたり、情報が捉えづらいことは難易度が高いと思いました。あとは、インターンシップもしっかり選考要素がありますよ!って正直説明してもらった方が好感度は良いですけどね(笑)
『後付け推薦』内定辞退抑止に使えばオワハラ
一部の企業で選考の最終段階などに大学の推薦状を提出するよう選考中の学生に求める後付け推薦が行われ、立教大学キャリアセンターの旗振りもあって大学側が問題視したことが大きな話題になった。
推薦状は提出すれば選考で有利になる気もするが、一方で内定を辞退しづらくなる、という学生の心理に大きく影響を与えた可能性はある。それが故に、職業選択の自由を妨げる、内定辞退抑止に使うのはオワハラだ、とまで否定的な世間の声が飛び交った。
――後付け推薦についてどう感じた?
24卒Bさん|初めての就活なのでニュースで後付け推薦の件は認識しましたが正直、そういうものなんだな…と思ったほどで、特に気にしていなかった。
24卒Dさん|私は周囲の友達の話を聞いていると、内定を辞退することに対して、そこまで恐怖や抵抗がある世代ではないように感じます。だから、仮に後付け推薦を依頼されても問題ないです。辞退する時は辞退しますので…大学に迷惑がかかるのですか?
24卒Aさん|後付け推薦は確かに学生の心理として、ポジティブではない施策ですね。ただ、そこまでしないと学生を採用できない企業なんだと感じてしまうので逆に会社のブランドに影響すると思います。どんと構えて、しっかり考えて自分の判断で内定承諾するか任せるよ!と言えるだけのパワーが企業には欲しいです。
新しい時代だからこそ就活生に寄り添う採用活動を
今回取材して感じたことは、毎年のように就職活動に関するトラブルが話題になるものの、意外と当事者になる就活生たちは大人たちが感じる問題を問題として捉えていないのかもしれない…ということ。就活生にとっては大人たちが用意した環境にいかに正しい情報があるのか、視野を広げて選択できるのか、意中の企業から内定獲得できるのか、というシンプルな考えのようだ。
コロナ禍以降、企業ごとに採用スタイルが変わり就活生はハイブリッド就活に適応する必要がある。企業側は、これまでの新卒採用の概念を取っ払い、新しい時代の新卒採用と捉えて、就活生たちに寄り添ったカタチを科学していくことが求められる。それが就活生たちの中でのブランドになるのではないだろうか。
はたらくを楽しもう。