「濃い野菜あります。」 無農薬無化学肥料の野菜が並ぶ飲食店シェフも絶賛する直売所(札幌市西区)
札幌中心部の市街地から、大倉山を越えた西の先の小別沢にある「かわいふぁ~む」。その直売所は通りからちょっと入ったところにあり、店の前にある「濃い野菜あります。」と書かれたのぼりが目印です。市民のみならず、飲食店シェフも通うという無人直売所と、その野菜の魅力について野菜ソムリエの私がご紹介します。
のぼりはありますが!
直売所の前には、「濃い野菜あります。」というのぼりがあることはあるのですが、とても分かりづらい場所にあるため、つい最近まで、「札幌で一番わかりにくい無人直売所」というのを売りにしていましたが、やっとつい最近、Google マップで検索できるようになりました。
直売所にトマトなどカラフル野菜が並ぶのは7月中旬くらいからですが、春先はグリーンアスパラガスのほか、ヒミツの場所に自生しているタモギダケも登場します。
一度食べたら病みつきになる人が多く、直売所のリピート率がとても高い。中には飲食店シェフ自ら買いに来るとか。やっぱり味が濃くて美味しいからですかね。
華麗なる転身⁈
札幌市街地から車で約20分で行ける「かわいふぁ~む」の畑は、森の近くのちょっと小高いところにあります。
その濃い野菜を作っている生産者の川合浩平さんは見た目もハートも濃いんです。
川合さんは東京でサラリーマンをしていましたが、子供の誕生を機に、それまでの食に対する意識が変わり、地元・札幌に戻って農家になることを決意。札幌市の農業講座「さっぽろ農学校」で学び、小別沢の「まほろば自然農園」で農業研修を受けて、2016年に独立しました。
濃い野菜のヒミツは!
現在は30品目余りの野菜を、無農薬無化学肥料で栽培しています。「札幌ならではの野菜を作りたい」と、「かわいふぁ〜む」の野菜の多くは自家採種、つまり種を自分で取って、それをまた苗にして畑に植えるという栽培をしています。
また、川合さんは「旬の野菜を採って畑に持ち帰る“畑の八百屋”をやっていきたい」と熱く語ります。直売所で野菜を買うだけではなく、畑に来てもらって、畑から野菜を収穫して購入してほしいと。畑から自分で収穫したものを買えるとは、とても贅沢なことですよね。
畑は基本的に本人一人だけ
朝から晩まで、畑は川合さん一人で切り盛りしていますがー。実は、畑に行くと、ほかにも農作業している人がいるのを見かけます。
「野菜の美味しさにハマった」「こんな美味しい野菜を作っている人のお手伝いをしたい」「一人で大変そうだから」「農作業をやってみたい」など、ここに来る理由はさまざま。来たい人が作業をしたい日時に畑に来て、その日にある作業をするという感じです。
「畑は傾斜地で、機械化が難しく、草取りや収穫に人手が必要で、作業の応援は大歓迎です」と川合さん。
実は何を隠そう、私も「かわいふぁ~む」の野菜のファンで、その作業を手伝う一人なのです。
仕事の合間、週に1回くらい2~3時間ですが、畑に行って定植や草取りなどさせてもらっています。野菜ソムリエですから、野菜が成っているのを見ることは少なくないのですが、収穫体験ではない農作業をきちんとさせてもらえるということはそう簡単にはできないものです。
川合さんの野菜の話はおもしろくてためになります。川合さんという人間を通して、野菜の気持ちを聞いているような気持になるんです。
実は配達もしています!
市内中央区に限っていますが、配達もしています。川合さんの農作業が終わってからの収穫なので、夜になりますが、収穫したてを配達してくれます。これは前日までの連絡が必要となります。
まずは、「濃い野菜」を食べてみてください。そして、畑にも行ってみてください。小高い丘にある畑から見る札幌中心部の景色もなかなかいいものですよ!
<かわいふぁ~む直売所>
*住所:札幌市西区小別沢39(直売所)