道の駅に設置された「段ボール授乳室」が批判殺到で炎上。これまでに出てきた情報をまとめました
島根県松江市の道の駅『秋鹿なぎさ公園』に設置された授乳室が段ボール製だったことをめぐりSNSで批判が相次ぎ、炎上状態となりました。
どういった流れで炎上となったのか、どのような批判・擁護コメントが出たのか、批判を受けてどのようになったのかをまとめました。
「段ボール授乳室」炎上の流れ
- 2023年9月19日:TSKさんいん中央テレビが島根県松江市の道の駅「秋鹿なぎさ公園」に設置された「段ボール授乳室」のことを取り上げる
- 同日:「これで子育て支援と言われても、ピントがズレすぎて言葉がない」などといったXでの批判が拡散。記事執筆時点で1,120万件の表示
- 2023年9月21日:BSS山陰放送が「段ボール授乳室に批判が相次いでいる」と問題を取り上げる。他メディアも続々と取り上げる流れ
- 2023年9月22日:半透明の屋根の設置、利用中はスタッフによる周囲の警戒、カーテンの二重化などの対策が決まる(TBS NEWS DIG)
- 2023年9月25日:同じ「段ボール授乳室」が設置されている山口県周防大島町の道の駅「道の駅サザンセトとうわ」が施錠できる室内への移動を発表
- 2023年9月28日:島根県川本町が10月設置予定の「段ボール授乳室」の使用見送りを発表
- 同日:島根県の丸山知事が批判に対して「100点じゃないからダメは間違った考え方、非難に惑わされちゃいけない」と反論(BSS山陰放送)
なぜ「段ボール授乳室」が設置されることになったのか?
- 2019年の段階では、全国の道の駅の4%にしか授乳室が設置されていなかった
- 2023年、国土交通省が「子育て支援」として今後の3年間で道の駅の半数、50%に授乳室を設置する目標を発表
- 2023年6月28日、一般社団法人日本道路建設業協会が授乳室の寄贈先の公募開始。3年間で150駅に寄贈予定
- 2023年9月13日から大分県豊後大野市の道の駅「みえ」を先駆けに全国50駅に順次寄贈(設置予定の50駅)
- 道の駅「秋鹿なぎさ公園」はそのなかのひとつ
なぜ「秋鹿なぎさ公園」には授乳室がないのか?
- もともとは女子更衣室のなかに段ボール製ではない授乳室があった
- しかし、「シャワー室のニオイが気になる」とのクレームがあったことと、利用の少なさから約2年前(2021年)に撤去された(テレビ朝日/ANN AbemaNews)
ベビーケアルーム「mamaro」ではダメなのか?
なぜ新たに授乳室を設置しないのか?
- 「秋鹿なぎさ公園」の説明は「設置場所がなかった」(テレビ朝日/ANN AbemaNews)
- 「秋鹿なぎさ公園」の令和3年の利用客は8,093人(令和3年 島根県観光動態調査結果)。1日あたり約25名の客と考えると、予算がないことが予想される(同駅は火曜定休。夏休み期間中は休みなし)
なぜ「段ボール授乳室」には天井がないのか?
- 建物内に密閉された個室を作ると消防法によりスプリンクラーや感知器の設置が義務付けられてしまう(消防庁)
- 「mamaro」の天井は開口率70%あり、スプリンクラーの水が室内に降り掛かるよう消防ガイドラインへの対策をしている
- 「mamaro」の段ボール授乳室「mamaro lite」も天井はない(mamaro lite組み立ての様子)
仮設なら「段ボール授乳室」でも良いのではないか?
- 「秋鹿なぎさ公園」では常設の予定(NHK)
「段ボール授乳室」は強度に不安がある
- 「段ボール授乳室」は強化段ボール製(段ボール授乳室のメーカー)
- 強化段ボールは表面と裏面の紙がとても固くて強いため、叩いたり押したりしても凹まない(段ボールメーカーの解説)
「段ボール授乳室」は東北の女学生が作ったもの→誤り
以上がこれまでに出てきた情報です。
で、結局何が問題なのか?
ここからは筆者の見解ですが、「子育て支援ならまともな授乳室を設置して欲しい」はもっともな意見です。
一方で、「まずはできることとして、100点じゃなくて5点、10点、50点でもいいから段ボール授乳室を設置する」という丸山知事の意見も正しいと思います。
結局は国土交通省の「3年間で道の駅の半数、50%に授乳室を設置する」という目標が誤りというか、「年間利用客◯万人以上の道の駅の50%」といった感じにもう少し設置場所を選別するべきだったのではないでしょうか。
ただ数字目標を掲げるだけでは、予算のない道の駅は今回のように寄贈に頼らざるを得ません。「mamaro」を買えるくらいの補助金を出すか、そもそも予算のある道の駅に限定して設置を促すかする必要があったのではないかと考えます。