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疲れが溜まっている人の特徴は、朝ごはんの中身に原因があり!

水野雅浩/健康マネジメント健康マネジメント専門家

こんにちは、健康マネジメントスクール、水野雅浩です。

『ビジネスパーソンの健康マネジメント』を中心に本の執筆、企業、行政、大学などで講師をしています。特に40代からは、仕事のパフォーマンスと健康度が比例します。ぜひフォローして、「攻めの健康マネジメント」にお役立てください。

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■「なんで、こんなに疲れが溜まるのか?」

ニューノーマルになってからなのか、こびりつくような疲れがじわじわと溜まり、抜けにくくなるという実感はないだろうか。先日、某大手企業で健康経営を推進している人事の方と打ち合わせをしている中で、従業員に対して体調確認のアンケートをしたところ、「疲れている」「疲れが取れない」と回答した人がなんと8割にも登った。興味深い点は、新卒を含む若い世代から定年間近の60代まで全てにまんべんなく分布しているということである。20代30代の若手も疲れている、というのは一体なにが原因なのか。

■失われた基礎体力

振り返ってみると、コロナの大流行が私達の日常生活に与えた影響は大きい。特に感染拡大期においては非接触の原則の元、外出制限などによる在宅時間の増加で、心身の機能のバランスが崩れてしまうことは往々ににして経験してきた。

ダーウィンの進化論の中でも「よく使うものは、より大きくより強くなる。しかし、使わないものは、より小さくより退化していく」とある。数年間、使う頻度が落ちた、筋肉や内臓などが、回復力を遅らせているのかもしれない。

■まずは、食事の内容から見直そう

疲れ対策はさまざまある。人との交流を増やすことも、睡眠を増やすことも重要だ。そのなかで、身近すぎて見落としがちなのが、食事だ。

現に冒頭の健康経営に取り組んでいる企業の社員アンケートの他の項目を見てみると、「朝食を食べていない」はなんと72%。「昼食の内容」は、おにぎり、カップスープ、カップラーメン、コンビニの菓子パンなどを食べている人が4割程度いた。また、その多くがサプリメントを活用していたが、サプリメントは、あくまでも補助の役割でしかない。建物をたてる際に、鉄柱やコンクリートがないのに、ネジばかり過剰に準備しても意味がないのと同じだ。

これでは、体力も気力も回復しない。当然、仕事のパフォーマンスが低下していくのは当たり前だ。

■食事では、ミクロ栄養素よりも、マクロ栄養素

では食事は何から見直したら良いのか。今回は、100%理想の食事を目指すのではなく、はじめの一歩として「何を」「いつ食べればよいのか」という2ポイントで解説する。

1)何を食べれば疲れが取れ、元気になるのか

まずは、何をさておいても食事の中にタンパク質が入っているかを確認しよう。タンパク質は卵、魚、肉、乳製品、大豆などの食材だ。タンパク質は英語でいうとプロテイン。プロテインの語源は、ギリシャ語で「最も大切なもの」を意味する「プロティオス」からきている。カラダやホルモンを構成するたんぱく質をまずは大黒柱として補給しよう。

次に、炭水化物。米や麺類だ。過剰摂取はいけないが、体や脳を動かす効率の良いエネルギー源となる。風邪のときなどにお粥を食べるのは、速やかにエネルギーとなりカラダを回復させてくれるからだ。私は某大手外資系企業で、サプリメントの商品開発の責任者として13年務めてきた。世界にはさまざまな栄養素はあるが、疲労回復やエネルギーの効率の面では、炭水化物にかなう栄養素は、他にない。

ビタミンミネラルといったミクロ栄養素に目が向きがちだが、まずはタンパク質、炭水化物などのマクロ栄養素をおさえよう。

2)いつ食べればよいのか

では、タンパク質と炭水化物をいつ食べればよいのか?別の言い方をすれば、いつが最も健康への寄与度が高いのか。もっともカラダが栄養を必要としているのは、実は、朝。

仮に夕食が20時で、朝食7時まで、実に11時間、栄養が補給されていないことになる。さらに朝食を食べず、昼食がはじめての食事となると16時間近く栄養素が入ってこない。するとカラダはエネルギー不足になるだけでなく、筋肉を分解して、タンパク質を補給しようとする。つまり、朝ごはんを抜くと、廃材でカラダを再構築するようなサイクルになる。

さらに、朝食を抜くと一日の生活リズムを担う「体内時計」が狂ってしまう。このリズムが乱れると精神状態に不調を及ぼし、勉強や仕事のパフォーマンス低下につながってしまう。

さらに、朝食を抜いたままで、昼食を仮にラーメンライスや、うどん定食のような炭水化物が過剰な食事になると、空っぽなカラダに糖質が流れ込んできて、それを必要以上に取り入れようとするので、一気に高血糖になる。さらには、 血管の中を傷つけるだけでなく、血糖値が下がれば疲労感は更に高まり、ゆくゆくはメタボの原因ともなり、踏んだり蹴ったりとなる。

朝食に何を食べるのかが、一日の活力を決定づけるのだ。

■疲労回復には、たんぱくリッチな朝ごはん

私も朝ごはんを食べない時期があったが、食べている日と、食べていない日では、一日の活力度、集中力、疲労回復度、がまったく異なる。疲れをリセットし、エネルギーをみなぎらせるためにも、朝ごはんからまずは見直そう。

●ご飯派の人におすすめなのは

納豆、たまごかけご飯だ。ご飯の炭水化物だけでなく、大豆と卵からタンパク質をリッチにとることができる。

●パン派におすすめなのは、

牛乳や、ヨーグルト、目玉焼きなどだ。乳製品とたまごからタンパク質をとることができる。

●朝、食欲がない人は、シリアル+牛乳

私は食欲がないときは、シリアル(グラノーラ)に牛乳をかけている。時間があるときは、そこにヨーグルトも足している。これでたんぱく補給はバッチリだ。

■最後に

「疲れ」に悩まされている人は、まずは、食事の内容と、タイミングを見直そう。朝ごはんは、ボーリングでいったらど真ん中のセンターピンだ。ドミノでいったら、一番はじめのピースだ。1週間も「たんぱくリッチ朝ごはん生活」をすれば疲れは減り、活力がみなぎってくる。

朝ごはんを抜くことから始まる負のサイクルを、朝ごはんを食べることから始まる正のサイクルへ切り替えよう。

健康マネジメントスクール

水野雅浩

健康マネジメント専門家

健康マネジメントスクール代表。作家・講師。予防医学の専門家。健康経営アドバイザ-。『グローバルで勝つ!30代の太らない疲れない7つの習慣』はアマゾン総合1位。企業・行政・大学で「仕事のパフォーマンスを上げる健康マネジメント」、学習塾で「子供の成績を上げる食事・睡眠習慣」をテーマに講師。著書に『親子で作る健康習慣「本番力」で受験に勝つ』がある。中央大学法学部卒業後、介護サービスに携わり10年間、人の老化と向き合う。その後の香港勤務では海外のビジネスパーソンらが実践する健康投資を目の当たりにする。日本に帰国後、12年、外資系ヘルスケア企業で商品開発の責任者を担う。1975年生まれ。福岡在住。

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