「成長期の堕落がひどい」北朝鮮で高校生の盗撮事件が大問題に
韓国の性犯罪処罰法第14条は、カメラなどを使って性的欲望、羞恥心を誘発しうる身体の一部を対象者の意思に反して撮影、または複製することを違法とし、7年以下の懲役または5000万ウォン(約561万円)以下の罰金に処すると定めている。盗撮やリベンジポルノによる被害が急増に伴い、2020年の改正で盛り込まれたものだ。
また、容疑者や被告の顔写真や氏名を公表しないのが原則だが、凶悪犯罪と性犯罪は審査を経た上で公表されることとなっている。
日本の同様の法律は2023年に施行され、リベンジポルノに対しては3年以下の懲役刑または50万円以下の罰金となる。盗撮は3年以下の懲役刑または300万円以下の罰金だ。韓国と比べると相対的に処罰が軽い。
誰もが携帯電話、スマートフォンを持つようになってから盗撮が頻繁に起こるようになったが、北朝鮮とて例外ではない。首都・平壌郊外の平城(ピョンソン)に住む男子高校生3人が、女子生徒を盗撮した容疑で逮捕されたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えている。
この3人は、エリート校である平城市第1高級中学校(高校に相当)の3年生だ。そのうちの1人であるAが、同じ学年の女子生徒と付き合うようになった。そして、2人で性交する様子を動画に収めた。自慢したかったのか、AはクラスメートのBと動画を共有した。Bは別の生徒Cに共有し、そこからどんどん広がっていった。
これに気づいた女子生徒の親が朝鮮労働党平城市委員会に問題を提起したことで事件化され、平城市安全部(警察署)は3人を逮捕した。取り調べを行い、「成長期にある生徒の堕落が露骨だ」として厳しく扱う方針を示した。
結局、全員を退学させた上で、生徒Aは少年教化所(少年院)送りに、BとCは普通の学校、つまり格下の学校に転校させよとの内部指示が下された。それなりに厳しい処罰ではあるが、韓流コンテンツを視聴してバレた場合よりははるかに軽い。
(参考記事:北朝鮮の女子高生が「骨と皮だけ」にされた禁断の行為)
事件はこれだけではなかった。同じ学校の別の男子生徒2人は、女子トイレに忍び込み、盗撮していたことが発覚した。
エリート校で相次いだ深刻な性犯罪を受けて、平城市当局は、教員総会を開き、事件の一部始終を公開すると同時に、校内でも放課後もスマートフォンの使用を禁止するなど、生徒の管理を徹底するよう指示した。
また、「学習に専念すべき生徒たちが恋愛するとは、資本主義思想文化の腐った風潮」として、成人して何かを成し遂げてから、堂々と結婚相手に巡り合うのが健全な社会主義生活様式だと、教養事業(思想教育)を徹底するよう指示した。
市の社会主義愛国青年同盟も、初級中学校(中学校に相当)と高級中学校において、複数の男女が一緒に出かけたり、恋愛したりする行為を取り締まり、スマートフォンの学校への持参を禁止するなどの指示を下した。
今回の当局の対処方法だが、加害者への処罰はともかく、加害者のプライバシーはおろか被害者感情にさえ配慮せず、事件の全容を公開してしまったのは、非常に間違ったやり方だと言えるだろう。