インド、アメリカから偵察型ドローン「MQ-9B」30台購入へ:台頭する中国と隣国パキスタンをけん制
インドがアメリカのジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズが製造している偵察型ドローン「MQ-9B」を30台購入すると欧米やインドのメディアが報じている。総額で30億ドルである。同機は1700キログラムまでの物資が搭載可能で、48時間飛行できる。インドでは昨年、2機のMQ-9Bをリースして中国との国境付近での偵察用に活用していた。昨年2020年はインドは中国との国境紛争で暴動が発生するなど非常に緊張していた。
2021年3月にはアメリカ、オーストラリア、日本、インドの4か国で「Quad(クアッド)」首脳会談がオンラインで開催されていた。新型コロナウィルスのワクチン提供の話題ばかりが報じられているが、クアッドの目的は台頭する中国へのインド・アジア太平洋の4大国による安全保障でのけん制と抑止である。中国はQuad4か国の協力関係の強化とアジアにおける強大化およびプレゼンスの向上を揺さぶろうと国境紛争が行われているインドとの関係改善を図ろうとしている。だが、中国とインドの関係が改善されても、アジア太平洋地域における中国の脅威は変わらない。台湾、南シナ海などでの中国の勢力拡大が懸念されているので、中印国境側はインドの軍事力を強化して、中国の台頭と勢力拡大を封じておくことは地政学的にも必須である。そのためインドと中国の国境紛争と軍事衝突の回避は米中関係とインド太平洋地域の安全保障においても戦略的に非常に重要である。またインドは中国だけでなく、隣国パキスタンとも緊張関係にあるので、偵察型ドローンは重要である。
インドは偵察から攻撃まで軍事分野でのドローンの活用に積極的である。2021年1月15日にデリーで開催されたインド国民軍の軍事パレードではAI(人工知能)を搭載した75機の徘徊型の自律型攻撃ドローンが初めて上空を飛行するところが披露された。標的を認識するとドローンが標的に突っ込んでいき標的を爆破する、いわゆる「神風ドローン」である。またインドのスタートアップ企業が20キロメートル以上(65,000フィート)の上空を90日間以上飛行することが可能な太陽光で作動する「Infinity」というドローンを開発している。