Yahoo!ニュース

「SATC新章」にサマンサが復活!サラ・ジェシカ・パーカーとはまるで顔を合わせず

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
主要キャスト4人とマイケル・パトリック・キング(写真:Keizo Mori/アフロ)

「セックス・アンド・ザ・シティ」のファンに、朗報。配信ドラマ「And Just Like That.../セックス・アンド・ザ・シティ新章」の第2シーズンに、サマンサ・ジョーンズ(キム・キャトラル)が登場するというのだ。

 ただし、カメオ出演程度の短いシーン。撮影が行われたのは3月22日、ニューヨークのスタジオの駐車場だったとのこと。キャトラルが出ることは極秘扱いにされており、その日の撮影の詳細が書かれた紙にもキャトラルの名前はなく、彼女の姿を見たクルーはびっくりしたそうだ。現場にはキャリー役のサラ・ジェシカ・パーカーをはじめとするほかのキャストも、製作総指揮のマイケル・パトリック・キングもいなかった。キャトラルに出演の話を持ちかけたのも、パーカーやキングではなくHBOのCEOで、お互い顔を合わせたくない、話をしたくない相手と接点を持たずに済んだ。だからこそ実現したといえる。

 パーカーとジョーンズの不仲説はかなり前からあった。オリジナルのテレビシリーズ終了直後に作られるはずだった映画1作目の話が一度潰れた時も、パーカーの3分の1しかもらっていないキャトラルがギャラの増額を要求したのが原因と言われたものだ。その後、キングいわく「みんなが納得する方法」を見つけて映画は製作され、続編も作られた。しかし、映画3作目の企画が撮影開始直前にキャンセルになると、裏側にあった人間関係が表面化する。

 報道によると、中止になったのは、キャトラルが出演条件に、製作配給のワーナー・ブラザースが彼女の持つ別の企画にもゴーサインを出してくれることを挙げ、スタジオが承諾しなかったからとのこと。ひとりのわがままのせいでと、ほかの関係者は大きな不満を持ったとされる。ただし、キャトラルは、そんな要求をしたことを否定し、「私がした要求は、『映画には出ない』ということだけ」とツイート。その後のインタビューでも、映画2作目の時に「この役はもうこれで終わり」と感じたこと、60歳を迎えた時になおさらそう確信したことなどを語っていた。

キャトラル側の言い分は

 さらにキャトラルは、悪者は自分以外にいることを匂わせてもいく。イギリスのジャーナリスト、ピアース・モーガンとのインタビューで、キャトラルは、パーカーについて「もっと良い人でいてくれることもできたのに。何が問題なのかわからないわ」と発言。キャトラルの弟が亡くなり、パーカーがお悔やみの言葉を送ってきた時も、キャトラルは「サラ・ジェシカ・パーカー、この悲劇に、あなたの愛とサポートは不要」と大きく書いた画像とともに、「あなたが連絡してくるたびに、あなたは今も昔もいかに残酷な人なのかを思い出す。はっきり言わせてね。あなたは私の家族ではない。私の友達でもない。良い人のイメージを取り戻すために他人の悲劇を搾取するのはやめて」というメッセージをインスタグラムに投稿した。

(キム・キャトラルのインスタグラムより)
(キム・キャトラルのインスタグラムより)

 そんな中では、オリジナルのシリーズの撮影中、アトランティック・シティでロケをするにあたり、パーカー、ミランダ役のシンシア・ニクソン、シャーロット役のクリスティン・デイヴィスは同じ家に宿泊したのにキャトラルは自分で宿泊場所を探さなければいけなかったなどという、古い話も浮上。セックスシーンも大胆にこなし、視聴者を笑わせてくれるサマンサに人気が集まったことがパーカーには面白くなかったのだと、まことしやかに言われた。

 いずれにせよ、ここまで伝わってしまったら、スクリーンで親友を演じるのはさすがに嘘っぽすぎる。出演交渉でまた揉めるのも懸念してか、配信で「セックス・アンド・ザ・シティ」を続けることになった時、パーカーとキングはキャトラルに声をかけることをしなかった。サマンサがいない理由については、第1話で、パブリシストが不要になったキャリーがサマンサと仕事上の契約を切ったことに怒り、ロンドンに行ってしまったと説明される。だが、シリーズ最終回では、ふたりが久しぶりに会うことになり、友情が完全に消えていないことを感じさせていた。

第3シーズンに可能性を残す?

 それでもまさか彼女が次のシーズンに顔を出すことになるとは、予想外の展開だ。今、そうやってニュースを解禁したことで、今月22日に始まる第2シーズンへの期待は確実に高まるだろう。正直なところ、第1シーズンは、ファンの間でも評判があまり良くなかったのである。もちろん、キャラクターたちが年齢的に成熟したのもあるのだが、ストーリーやトーンがダークでシリアスになりすぎたと受け止めたファンからは、「サマンサがいてくれたら」という声も聞かれたのだ。

 だが、サマンサの登場はどうやら11話あるシーズンの最終回になりそうな模様で、ファンはそこまで待たなければならない。そこで出してくるということは、第3シーズンにつなげる可能性を残しているということなのだろうか。「ワイルド・スピード」で、2作目に出演を拒否したヴィン・ディーゼルは3作目の最後に驚きのカメオ出演をし、それが大好評だったことから、4作目から主演だけでなくプロデューサーとしても復帰している。同じようなことが起こるには道が険しすぎる気はするが、今シーズンはエイダン(ジョン・コーベット)も戻ってくるし、とにかくファンとして「And Just Like That...」第2シーズンは見逃せないものになってきた。

第2シーズンにはキャリーの元婚約者エイダンも登場(写真: Max/WBD)
第2シーズンにはキャリーの元婚約者エイダンも登場(写真: Max/WBD)

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

猿渡由紀の最近の記事