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NY原油24日:ドル安一服と米在庫増加観測を受け、総じて小反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油4月限 前日比0.06ドル高

始値 47.46ドル

高値 48.56ドル

安値 46.67ドル

終値 47.51ドル

ドル安圧力が一服する中、原油相場の戻り圧力も一服した。4月限は小幅続伸したが、5月限以降は小反落しており、全体としては戻り売り優勢の展開になっている。

需給環境に特段の新規材料が見当たらない中、消去法的に為替相場の影響力が増している。このため、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安(ドル高是正)圧力が、ドル建て原油相場に対してもサポート要因になっている。もっとも、明日は米石油週間統計の発表が控えており、米国内の在庫積み増し圧力が観測されるとの警戒感が改めて上値を圧迫している。原油在庫の市場予測は前週比+475万バレルとなっており、過去最高の在庫水準を更新する動きが報告される見通し。

引け後にはAPIの在庫統計が先行して発表されているが、原油在庫は前週比480万バレルとなっている。製油所稼働率の上昇が報告されているが、依然として過剰供給状態が維持されている。米エネルギー情報局(EIA)の統計でも在庫増加トレンドが確認されれば、原油相場は改めて売り込まれる可能性も十分にある。

石油輸出国機構(OPEC)が高水準の産油量を維持する中、短期的にはドル安程度しか上昇要因は見当たらない。何か地政学的環境に大きな変化が生じない限りは、少なくとも反発力は限定された相場展開が続く見通し。目先は、在庫積み増し圧力が原油相場の上値を圧迫するフローが維持される可能性が高い。いずれかの時点で年後半の需給均衡見通しを織り込む必要性が高まるが、少なくとも在庫増加トレンドが維持されている間は、買い急ぐ必要性は乏しいだろう。なお、40ドル割れのリスクも想定しておくべきと考えている。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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